川本喜八郎 人形―この命あるもの (別冊太陽)
世界的な人形アニメーション作家・川本喜八郎さんの全仕事
世界的な人形美術家・人形アニメーション作家「川本喜八郎」さん(Wikipedia)の作品と魅力を紹介した、充実の一冊。2005年に公開された、奈良・二上山を舞台に展開する折口信夫氏の名作『死者の書』の公開直後に編集されたもので、川本さんは2010年8月に亡くなっています。
川本喜八郎さんの作品といえば、NHKで放送された人形劇『三国志』や『平家物語』などが有名でしょう(『プリンプリン物語』は別の方の作品です)。その当時、私はそれほど熱心に番組を見ていたわけではありませんでしたが、後になって三国志や日本の歴史にはまってみると、氏の人形のクオリティーの高さに驚くばかりです。
本書では、氏の作品が全て紹介されていて、様々な世界観をお持ちの方だったことが分かります。初期のアニメーションのようなものから、今昔物語から題をとった『鬼』、文楽などで演じられる『道成寺』、中島敦の作品を映像化した『不射之射』など、全ての作品を観てみたくなりますね。
また、その生涯もなかなか波瀾万丈で、人形作家としての転換期となった、チェコの人形アニメーション作家イジィ・トルンガのもとへ半ば強引に留学へ行く話なども、面白いですね。長野県飯田市に「飯田市川本喜八郎人形美術館」という施設が開設されているそうですので、いつか必ず行ってみたいと思います。
なお、川本喜八郎さんの作品を今観ようと思うと、『死者の書 [DVD]』などはDVDを購入するのが早いですが、『人形劇 三国志』ともなると全68回にもなりますから、なかなか気軽に買えるものではありません。
しかし、調べてみたら、「NHKオンデマンド」で全話視聴できるようです。1話210円ですが、月額見放題パックなら月額945円ですから、これならいけますね。時間を作ってぜひ全話観てみたいと思います!