2012-06-07

骨董物語

誰しも50過ぎに骨董にはまるとか。さすがのセンスです

エッセイスト桐島洋子さんが、ご自身の骨董コレクションについて語った一冊。西洋のガラス工芸品、アンティークドール、中国の古家具や陶器などを中心に収集なさっていらっしゃいます。骨董趣味の師匠は、前夫であり、骨董美術鑑定家でエッセイストの勝見洋一さんということで、さすがにいずれも素晴らしい作品ばかりですね。特にお値段にこだわっているようではありませんが、独自の目線でセレクトしていることが分かります。

本の作りも、画像が多く掲載されていて、とても華やか。見ているだけで楽しくなります。個人的には、中国で嗅ぎタバコを吸うときに使用された鼻煙壷や豆皿のコレクションや、高貴な方が愛用したと思われる「蟋蟀入れ(こおろぎいれ)」などに惹かれました。女性から好まれそうな美しい時代物のカットグラスなども掲載されていますので、骨董に興味のない方でも読みやすいでしょう。

作者の桐島洋子さんは、フリーライターとしてベトナム戦争に従軍したり、今では懐かしい言葉になったウーマンリブの活動などを行なっていた方です。また、シングルマザーとして、桐島かれん(女優)、ノエル(エッセイスト)、ローランド(写真家)という三人のお子さんを育て、その体験記『マザー・グースと三匹の子豚たち』という本も話題になりました。

桐島さんの著作はそれほど拝読していませんが、常に動いているイメージがある方なので、まさかこうした骨董趣味にハマっているとは想像していませんでした。しかし、モノを増やせば重荷になると思っていたが、50過ぎて残り時間を意識するようになったころから、生命の時間を愛おしむようになり、時間の記憶が結晶化した骨董にのめりこむようになったのだとか。同じような心の変化は自分自身でも感じていますし、年上の作家さんと密かに同調できたようで、少しだけ嬉しいですね。

なお、ほぼ関係ない話ですが、今から20年以上前、私が一人暮らしを初めてちゃんとお料理に取り組むきっかけとなったのは、桐島さんの著書『聡明な女は料理がうまい』の文庫本でした。きっと春の新生活フェアか何かに並んでいて、それに釣られたんだと思いますが、この本からは大きな影響を受けました。あまりにお気に入りすぎて、購入して読むたびに人にあげていたくらいです(今探したらやっぱり手元に無かった)。ほぼ写真も掲載されていないような本なので、今読んだらどう思うか分かりませんが、中古本を手に入れて再読してみたいと思っています。


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