もっと知りたい曾我蕭白―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
18世紀の「異端の絵師」の仕事ぶりが分かる最高の入門書
もっと知りたい曾我蕭白―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
18世紀の画壇で活躍した異端の絵師・曾我蕭白(そがしょうはく)の作品を、テーマ別に分かりやすく掲載した一冊。蕭白らしい、グロテスクで邪悪な雰囲気を醸し出している作品や、変わった構図の山水画、力強い達磨図など、幅広いテーマを手がけていたことが分かります。
やはり、ざんばら髪の薄気味悪い人物像は、良くも悪くも印象に残ります。このようなタッチの絵を、お祝いのものとしてオーダーされて描いたというのですから、人物評通りかなりの変わり者だったのかもしれません。不思議と引き込まれる、やや悪魔的な魅力にあふれています。奈良県立美術館にも3点ほど収蔵されているそうですので、忘れずに見ておきたいですね。
同時代の作家として、池大雅・与謝蕪村・伊藤若冲、少し遅れて長沢芦雪などがいますが、みな個性にあふれていて面白いですね。お江戸の華やかな文化に隠れた美があって、最近になって再評価が著しいのも当然なのかもしれません。私もちょっとずつ作品に触れていきたいと思います。
<2012年5月20日 追記>
東博で開催された「ボストン美術館展」で、曾我蕭白作品をまとめて観てきました。また、間もなく三重県立美術館の特別展「蕭白ショック」がやって来ますので、その予習も兼ねて再読してみました。
東博の会場では、それほど時間をかけて観ることはできませんでしたが、会場の最後の方にまとめて蕭白作品が展示してあり、その迫力にやられました!「雲龍図」「ホウ居士・霊昭女図屏風(見立久米仙人)」「風仙図屏風」などの大作がすごかったですね。こういった本で予習復習すると、会場では気づかなかった細部まで見られますし、あの圧倒的な迫力を追体験できるいい機会になります。
華やかな色彩を用いた作品も多くありませんし、何よりもキモチワルイと見られがちな作品を描いた方ですが、見れば見るほど惹かれていきます。このシリーズは、その作家の足跡を分かりやすく追っていますので、ぜひ図書館で探してみてください!