2012-04-22
土門拳 古寺を訪ねて―斑鳩から奈良へ (小学館文庫)
ポケットに土門拳!写真と文章をまとめたビジュアル文庫
寺院建築、仏像を撮影し続けた写真家・土門拳さん。その写真と文章をまとめたビジュアル文庫「古寺を訪ねて」シリーズの一冊です(全4冊)。
サブタイトルが「斑鳩から奈良へ」。法隆寺・東大寺・浄瑠璃寺を中心に、その周辺の寺院を巡って撮影した写真が93点掲載されています。どれも素晴らしい作品なのはもちろんですが、やはり文庫サイズではやや迫力に欠ける感がしてしまうのは仕方ないでしょう。しかし、その写真に対応するエッセイ風のテキストが添えられていて、とても読みやすくなっています。巨匠と呼ばれるような方が、どんな心持ちで被写体に向かっていたのか、どのような好みだったのかなど、よりリアルに伝わってきました。
土門拳さんと言えば、やはり個人的には仏像を撮影した作品に最も馴染みがあります。仏像に関して詳しいのはもちろんですが、建築に関しても造詣が深かったんですね。エッセイの内容が詳細で的確なので、失礼ながら感心してしまいました。しかし、意外なことにあまり信仰心は強くなかったのだそうです。
写真は1940年~74年に撮影したもの、テキストは1959年~81年に書いたものを再編集しているそうです。もちろん、今とは全く時代も違いますので、懐かしい奈良の姿をイメージしながら読めるのもいいですね。大判の写真集は高価でなかなか手が出ませんが、文庫本サイズなら千円以下で手に入ります。これから順番に読んでいきたいと思います。