2012-03-02
大和路 能とまつりの旅―写真とルポで訪ねる
奈良の紀行文と舞台にした能作品を紹介した良書です
奈良の各地を巡った紀行文と、その土地を舞台にした能作品を紹介する一冊。1996年に刊行されたものですが、今でも内容は全く古びていません。Amazonなどで中古本が安く購入できますので、興味がある方はお早めにどうぞ。
奈良は、能楽のシテ方五流のうちの四流派が生まれた土地であり、奈良の有力寺社で定期的に能楽が奉納されてきました。能の名作を書いた観阿弥・世阿弥なども奈良にゆかりがあるため、奈良を舞台にした作品は多数遺されています。このため、奈良県内各地にその土地に関連のある万葉歌があるように、能の作品を探すこともできます。
本書では、東大寺では「大仏供養」「青衣女人」、飛火野では「野守」、石上神宮では「布留」、法隆寺では「夢殿」、吉野山では「吉野天人」など、奈良県内各地を舞台とした能作品が簡潔に紹介されています。
能に詳しい方ならともかく、私のような初心者には土地とリンクした紹介の方がイメージしやすいため、とても理解しやすかったです。その代わり、詳細な解説は掲載されていないので、別の本を引く必要がありますが、入口として最適ですね。中世の日本で奈良が舞台となった作品が演じられていたことを知るだけでも楽しいですので、興味がある方はぜひ!