超訳万葉集〈2〉心重なる、恋の歌 (マーブルブックス)
万葉集の「恋の歌」と超訳。今も昔も恋歌は不変ですね
前作『超訳 万葉集―心に響く万葉の言葉』から一年、サブタイトルが『心重なる、恋の歌』となってパート2が登場しました。販売が好調だったんでしょうか?ファンとしては嬉しいですね。
今回も程良い「超訳」具合で、難解な印象のある万葉歌を分かりやすく解説してくれています。今回は恋の歌に絞っているため、より濃密になっています。見開き2ページで、元歌と超訳、そして簡単な解説を交えるスタイルは同様で、気軽に読み流せる感じがいいですね。前作と同じ歌も収録されていたりしてちょっと引っかかりますが(
狭野茅上娘子の「君が行く 道のながてを 繰り畳ね…」など)、恋歌を集めるのですから仕方ないでしょう。
付箋を貼りながら読みましたので(基準は色々です)、何首かご紹介しておきます。
●相思はず 君はいませど 片恋に われはそ恋ふる 君が姿に - 作者不詳 巻12-2933(両思いになれなくても、私は一人で恋をする。その姿を追う、片思いという恋)
●うらぶれて 離(か)れにし袖を また纏(ま)かば 過ぎにし恋い 乱れ来むかも - 作者不詳 巻12-2927(悲しみに疲れ果て、離した手と手。もう一度つないだら、また傷つけ合うのかな)
●わが後に 生まれむ人は わが如く 恋する道に 逢ひこすなゆめ - 作者不詳 巻11-2375(私のあとに生まれてくる人たちへ。絶対恋なんてしてはだめ)
●わが背子(せこ)と 二人見ませば 幾許(いくばく)か この降る雪の 嬉しからまし - 藤皇后(光明皇后) 巻8-1658(あなたと一緒に見られるなら、この雪もきっとどんなにかすてき)
●霞立つ 春の長日を 恋ひ暮し 夜の更けぬるに 妹に逢へるかも - 柿本人麻呂歌集より 巻10-1894(春の一日は長かったよ。君を思いながら、ようやく逢えた夜更け)
●朝寝髪(あさいがみ) われは梳(けず)らじ 愛(うつく)しき君が手枕 触れてしものを - 作者不詳 巻11-2578(寝乱れた髪。直したくない朝。あなたの腕を思い出しながら)
演歌風のものからJ-POP風のものまでありますが、こうして見ていくと今から1300年も昔の人々の歌も、あまり今と変わらないことが分かります。万葉歌に触れる入門編としてどうぞ!