2012-02-23
日本神話とアンパンマン (集英社新書)
着眼点とタイトルの勝利。内容はやや大人しめでした
強烈なタイトルで、中古で見つけて即書いした新書本。筆者は古事記や日本書紀など、日本の神話の研究者さんで、お子さんと一緒に毎日のようにアンパンマンを観ているのだとか。この双方の世界観に共通点を見つけ、「『それいけ!アンパンマン』という作品の神話的研究」を目的としているそうです。
項目を見ていくと、古事記とアンパンマンを登場人物・世界観などから比較するのはもちろん、「ばいきんまん・ドキンちゃんとヒメヒコ制」(男女が一対で現れることなど)、「スサノオとホラーマン」(物語を彩るトリックスターとして)、「旅人たちの目指すもの」(アンパンマンの世界には定住しない旅人が多い)など、なかなか面白いお題目が並んでいます。
ちなみに、私は全く知らなかったのですが、アンパンマンの登場人物は、この本が執筆された時点(2006年)で、すでに2,300人を超えていたのだとか!とんでもない数ですね。それらを大まかに分類し、パン工場があるこの国、バイキン島がある異界、時々登場する外国に分けて古事記との共通性を見ていくと…というような分析方法をとります。また、卵から生まれたばいきんまんに対して、古事記のアメノヒボコの逸話を比較したり…と、やや強引な感はありますが、面白いですね。
ただし、アンパンマンの世界を紹介しながら、メインは古事記の物語を分かりやすく紹介することなので、どうしても古事記を扱った部分が多めになり、ややアンバランスに感じてしまいます。
しかし、なかなか奇抜で意欲的な取り組みですし、こんなアングルから古事記を見てみるのも悪くないかもしれませんね。ものすごく面白い…とはとても言えませんが、Amazonなどで格安で中古が手に入りますので、興味のある方はどうぞ!