2012-02-02
世阿弥 (別冊太陽 日本のこころ)
「能」のスタイルを確立させた世阿弥の生涯に迫った一冊
現在にも続く「能」のスタイルを確立させた、役者でもあり作家でもあった世阿弥の生涯に迫った別冊太陽の一冊。謎の多い世阿弥の足跡を追うことに主眼が置かれていて、能全体の魅力を伝えるというよりは、歴史的な観点に比重を置いています。
人気役者だった父・観阿弥のもとに育ち、時の将軍・足利義満の寵愛を受けた稚児時代を経て、義持の時代に円熟期を迎え、義教の時代には息子を早くに亡くしたばかりか、疎まれて佐渡へ配流される…という、壮絶な人生を送っています。その間に、多数の舞台をこなし、今なお演じ続けられる新作を発表し、有名な『風姿花伝』など多数の能楽論を記すなど、偉大な足跡を遺しています。
その事績を追うことが主のため、別冊太陽らしい見応えのあるビジュアルページはやや少なめです。しかし、舞台の写真や、能面・衣装の写真などは迫力ですね。能に興味を持ち始めたばかりの私などには難しいところもありましたが、歴史的な観点から世阿弥という人物を見るには入りやすいでしょう。