2012-01-27

マンガでわかる 百人一首

初心者に最適。とても分かりやすい百人一首の入門書です

タイトルに「マンガでわかる」とありますが、漫画やイラスト、テキストを使い分けて、とても分かりやすく百人一首を解説してくれる一冊。何の知識もなかった私ですが、歌の内容はや歌人の背景はもちろん、百人一首の大まかな成り立ちや歴史なども学べて、入門書としては最適でした。

百人一首は、藤原定家によって鎌倉時代に編まれました。収録された歌は、天智天皇、持統天皇の時代から、平安・鎌倉時代の歌人まで含まれ、時代順に百人の歌が並んでいます。私は普段は万葉集の歌を見ていますが、それと比べると後世に作られた歌は、どれもテクニカルで上手いもの、現代人にもより分かりやすいものが増えています。また、これだけ親しまれてきたのは、競技かるたとして遊ばれてきたことも大きな要因でしょう。

●奈良を詠んだ歌
「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山」持統天皇
「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」安倍仲麿
「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の 錦なりけり」能因法師
「いにしえの 奈良の都の 八重桜 今日九重に にほひぬるかな」伊勢大輔

●有名歌人の有名な歌
「花の色は『うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に」小野小町
「嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな」西行法師
「ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ」紀友則

どれも聞いたことのあるような歌や歌人ですね。それぞれ歌の意味や、歌が詠まれた背景が解説されていくため、とても親しみやすく感じられました。興味がある方は手にとって見てください。


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