2012-01-10
万葉体感紀行―飛鳥・藤原・平城の三都物語
「体感する万葉」がモットーの上野誠先生らしい一冊
「体感する万葉」をモットーにする、奈良大学の万葉学者・上野誠先生らしい一冊。サブタイトルに「飛鳥・藤原・平城の三都物語」とあるように、それぞれの土地と時代ごとの万葉人たちの暮らしぶりなどを分かりやすくナビゲートしてくれます。
今では信じられないことですが、万葉人たちは奈良盆地を離れるだけで大ごとで、この狭い盆地の中に栄えた都こそが人生の全てのようなものでした。迷信深くロマンチストな彼らの感覚は、現代人には理解しがたいこともあります。万葉歌の解説は少なめで、万葉人の心の動き方を中心に解説されています。
2004年に出版されたものですが、内容的には古さを感じるようなこともありません。フルカラーで読んでいて楽しい良書ですが、140ページほどで1,800円はややお高いような気もしますので、まずは図書館で探してみてください。