2011-11-18
百鬼夜行絵巻―妖怪たちが騒ぎだす (アートセレクション)
室町時代に描かれた躍動感あふれる妖怪絵巻。ユーモラス!
室町時代に土佐派の絵師たちが書き続けてきた「百鬼夜行絵巻」について解説したビジュアル本。京都・大徳寺の塔頭であり、一休宗純によって開かれた「真珠庵」に伝わる、土佐光信の作とされる作品を中心に扱っています。
とにかく登場する妖怪たちがユーモラスで、不思議と和む姿をしています。鬼や動物をモチーフにしたものがいたりしますが、多いのは身近な道具が妖怪になってしまったもの。扇・傘・五徳・釜・鰐口など、ありとあらゆるものが妖怪化しています。「全てのものに神が宿る」という言葉を妖怪に置き換えたかのようですねw
長い絵巻に描かれており、彼らが躍動感にあふれた動きをしながらズラリと行進しているように見えます。そして、最後には巨大な火の玉が登場し、妖怪たちはそれから逃げ惑う…というのが、この妖怪絵巻の定番になっているのだとか。不思議な世界観ですね。
同様の百鬼夜行絵巻は、土佐派絵師によって書き継がれてきたため、ほぼ同じ構図のものが発見されていたりもするそうです。いずれもちょっと脱力系で、歌川国芳や月岡芳年の妖怪絵のような迫力はありません。これがどのような目的で描かれたのかは分かりませんが、何とも不思議な気分にさせられました。