
プラントハンター 命を懸けて花を追う (徳間文庫カレッジ)
世界の希少植物の取引を行う西畠清順さんのご著書。ワクワクしながら一気読みしました!
顧客からのオーダーに応じて、世界の希少植物を見つけて日本へ輸入したり、日本のまだあまり知られていない植物を世界へ紹介したり。園芸植物の世界で活躍する西畠清順さんのご著書です。人気番組「情熱大陸」にも取り上げられた方で、本書もワクワクしながら一気読みしました!
説明文:「年間移動距離、地球三周分! まだみぬ「花の奇跡」を追い求めて、日本全国、世界各国を飛び回る! あらゆる職人仲間から「絶対不可能」と言われた樹齢1000年のオリーブの大木をいかにして輸入したのか? 世界最大、重量12トンのボトルツリーをオーストラリアから輸入せよ! 真夏の結婚式に満開の桜を納品できるのはなぜ? 「絶対不可能」を覆す常識破りのハンティングで注目を浴びる、若き「植物探索者」西畠清順。そんな彼が自身の「植物ハント」物語を軸に、人の意識を変える「植物の力」を余すところなく描いた大興奮ノンフィクション! 2011年3月13日、「情熱大陸」出演!」
西畠さんは、貴重な植物の品揃えが豊富な植物卸問屋「花宇」の五代目。若いころは植物には無関心だったものの、ある時から植物の面白さに目覚め、ジャングルから砂漠まで、世界の同業者たちと連携し、希少な植物の流通を手がけています。
イメージは湧きづらいですが、「園遊会に相応しい松の木を」「ピカソの壺に合う植物を」「真夏のイベントで満開の桜が欲しい」など、クライアントからのさまざまなオーダーに応えています。特に植物の開花時期をずらして、特定日に花を満開にさせる技術に優れていて、たくさんのオーダーが舞い込むとか。
本書では、そうした(ちょっと変わった)日常業務はもちろん、過去に世界中で植物を探し歩いた話、海外の見本市へ出展する話、検疫にひっかかったため輸入した植物がすべて焼却処分された話など、さまざまなエピソードがテンポよく語られます。植物好きな人間としては、どれも楽しいお話ばかりでした!
ただし、Amazonのレビューなどでも指摘されていますが、「プラントハンター」と名乗ってしまった場合、どうしても植物学的な新種の発見に取り組んでいらっしゃる方を思い浮かべてしまいます。
その昔、新たな土地を目指して大海原を渡った船には、新たな植物を見つけて持ち帰ることを目的としたプラントハンターが乗船することが多かったとか。昆虫や動物でも同様で、見知らぬ生物を発見することを喜びとした王族やパトロンなどに仕えていたりしました。こうした方たちの情熱は学問の発展に大きく寄与しました。
西畠さんはこのどちらとも微妙に立場が違いますから、私のような素人であればともかく、詳しい方には違和感があるのかもしれませんね。
とはいえ、植物や博物学などが好きな私のような人間には、とても楽しく読める内容でした。植物の不思議さ、そして希少な種がどうやって守られて流通しているのか、知れば知るほど楽しくなりますね。興味のある方はぜひ!