
盆栽 癒しの小宇宙 (とんぼの本)
難しいイメージの盆栽。その見方や歴史がまとめてあり、盆栽デビューしたくなります
初心者にも分かりやすく盆栽の魅力を教えてくれる一冊。新潮社のとんぼの本シリーズの一冊で、発売は2003年とやや古めですが、今でも十分に楽しめます。本書で扱うのは、盆栽の定義・鑑賞法・歴史などです。生育方法などを解説したものではありません。
説明文:「盆栽こそ今や私たちの新しいパートナー。じじむさくも時代遅れでもなく、日々の暮しを見守ってくれるもの。この美しい世界を自由に楽しむための一歩!」
盆栽とは、もともと日本で生まれたものだと思われがちですが、実は中国の「盆景」が発祥で、平安時代ごろに日本へ入ってきたと考えられているそうです。また、盆栽の分類は、松柏(松と真拍)があり、それ以外はすべて「雑木」とされるのだとか。梅も竹も楓もすべて雑木扱いなんですから、ちょっと意外ですね。
イメージ的に、盆栽のスタンダードといえば松ですが、それに並ぶ存在なのが「真拍(しんぱく。イブキの仲間であるミヤマビャクシンの変種)」というもので、幹は横に曲がって成長することが多いため尊ばれているのだとか。私は全く知りませんでしたが、この真拍の名産地として知られているのが、私の故郷の新潟県糸魚川市で、「糸魚川シンパク」とブランド化しているそうです。またひとつ故郷の自慢が見つかって、ちょっと嬉しかったですね(笑)
そんな歴史や豆知識ばかりではなく、良い盆栽を見分けるポイントや、嫌われる形なども解説されていますので、初心者にも分かりやすいです。
それ以前に、美しい写真が多数掲載されていますので、それを見ているだけで楽しいですね。盆栽というと、格調が高すぎて気軽に楽しむようなものではないイメージですが、女性の盆栽作家さんも増えているようで、日常生活で身近に置いておけるカジュアルな作品も多数紹介されています。自分で育てるにはやや難しい面もあると思いますが、育てやすいものから少しずつ生活に取り入れて行きたいですね。
古い本ですから、Amazonの中古などでしか手に入らないかもしれませんが、とんぼの本シリーズらしく丁寧に作った素敵な内容ですので、興味のある方はぜひ!