「考古学」最新講義 古墳と被葬者の謎にせまる
大塚初重先生の社会人講座のレクチャーを収めた一冊。話し言葉で平易に最新成果を語ります
古墳調査の第一人者、明治大学の大塚初重先生のご著書です。社会人講座「明治大学リバティアカデミー」の大人気レクチャーを収めたもので、ややこしい専門用語が登場したりもしますが、全体的に平易に、話し言葉で現代の最新成果を語っています。
説明文:「「掘ってみてわかったこれだけの新事実」 第一人者が熱く語る、古墳発掘調査の最新成果! 卑弥呼の墓・邪馬台国論争から天皇陵治(じ)定(じょう)問題まで、 社会人講座「明治大学リバティアカデミー」の大人気講義を1冊に! 発掘の成果が明かす古代日本人の実像 古代史を彩るさまざまな古墳は、いつどのように造られたのか。そこに 葬られているのは、いったいどんな人物なのか―。 日本考古学界の第一人者が、今日までの古墳発掘と出土品研究の成果を もとに、60余年の経験を交えて、熱く、平易に語った最新講義録。 卑弥呼の墓・邪馬台国論争から天皇陵治(じ)定(じょう)(陵墓指定)問題、世紀の発見 「藤ノ木古墳」発掘秘話まで、社会人講座「明治大学リバティアカデミー」 の大人気レクチャーを収めた歴史・考古学ファン待望の一書!」
本書は以下のような章立てになっています。
●序 古代古墳の基礎知識
●第一講 ホケノ山古墳の発掘と箸墓古墳の被葬者を考える
●第二講 垂仁天皇皇后「日葉酢媛命陵」を考える
●第三講 さきたま古墳群と金錯銘鉄剣を考える
●第四講 常陸三昧塚古墳と首長の性格を考える
●第五講 藤ノ木古墳の発掘とその被葬者を考える
●第六講 牽牛子塚古墳から斉明天皇陵を考える
●第七講 天武・持統天皇合葬陵を考える
考古学に興味がある者にとっては、どれもホットなテーマばかりですね。それぞれの調査結果を踏まえて、最新の学説が聞けるのはもちろんですが、数々の発掘現場に立ち会ってきた方だけに、ちょっとした裏側のトークも面白いんです。
例えば、藤ノ木古墳の発掘現場の宿舎では、日本中から注目を浴びて緊張している担当者に対して、「私はこれを解(ほぐ)すには考古学以外の話題がいいだろうと思い、一世一代の猥談をしました。」とあります。どんな内容だったんでしょうか(笑)
また、私はこの説は知らなかったのでメモ代わりに書いておきますが、飛鳥駅近くの「岩屋山古墳」は、学術調査は行われていないままで、じつは墳丘が八角形であり(皇族の墓の証であるとされます)、斉明天皇を牽牛子塚古墳へ埋葬される前に仮埋葬された場所だった、という説もあるとか。なるほど。
考古学の初心者には理解できない部分もありますが、最初に基礎用語の解説などもありますし、興味のある方は手にとってみてください。