縄文人になる! 縄文式生活技術教本 (ヤマケイ文庫)
火をおこす、石器ナイフを作る、石に穴を開ける。縄文人の凄さが実感できる楽しい一冊
火をおこす、石器ナイフを作る、鹿の角の釣り針を作るなど、縄文人が当たり前のようにやっていた生活を現代人ができるのか?そんなことに真剣に取り組んだレポートです。紹介される技術自体は、現代文明が崩壊でもしない限り実用することはなさそうですが、読んでいて感心することばかりでした。
説明文:「自然とともに生きた古代の火起こし、土器作り、木の実食など、甦る縄文の技術。「縄文式生活技術教本」大震災、大噴火、食糧危機、エネルギー危機、経済破綻、地域紛争、地球温暖化…。あらゆる文明がストップし、電気もガスもガソリンも使えない日がきたら?日用品や食料品が底をついても生きのびるための知恵とは?「木と草だけで火を起こす」「石器ナイフをつくる」など20の実践的サバイバル術を詳細に紹介!」
本書で体験している項目は、●火をおこす ●石器ナイフを作る ●鹿の角で釣り針を作る●弓矢を作る ●竹を使ってヒスイに穴を開ける ●縄文式土器を作る ●古代の絵の具を作る ●丸木舟を作る ●糸を作って布を編む ●ドングリクッキーを作る●縄文ワインを作る ●竪穴式住居を作る、など。
どれも現代の道具を使えば簡単なことばかりですが、削りだした石のナイフなどでやろうと思うと、とんでもない苦行です。縄文人たちの生活は大変だったんでしょうね。
サバイバルのシーンなどでよく見かける火起こしですが、本書ではもっともシンプルな「キリモミ式発火法」はもちろん、道具を進化させた「弓ギリ式発火法」を試し、さらに世界で使われていたという、火ミゾ式・ノコギリ式・糸ノコ式なども紹介されています。いずれも慣れれば簡単のようですが、それ相応の熟練が必要なんでしょう。
いずれもあまり実用しないであろう技術ばかりですが、この本を読んでから歴史博物館のようなところに行くと、楽しさが倍増します。黒曜石を削ったナイフなど、制作手順を知ったことで、その貴重さと大変さがよりリアルに感じられるようになります。発掘された地味な土器であっても、それを作った人々の汗まで想像できるようになります(笑)
なお、私は図書館で借りてきた単行本版『縄文人になる!―縄文式生活技術教本』で読みましたが、こちらは2002年の出版のため、もうなかなか手に入らないでしょう。新たに文庫版が出ていますので、そちらを探してみてください。