2013-08-02

乙女の日本史

スキャンダルや男色。オッサン目線ではなく女子の乙女的な目線で歴史を捉え直した快作!

従来のオッサン目線の歴史解釈(=おじさん史観)ではなく、女子的な目線で歴史を捉え直し、シリーズ化されるほどのヒット作となった作品です。日本の歴史上に登場した、または裏で糸を引いていた女性たちにスポットライトを当て、男色的な関係も掘り起こし、気軽に楽しく読める内容でした。


説明文:「さよなら「おじさん史観」! 今こそ語ろう、乙女目線の日本史

●日本はもともと肉食女子×草食男子の国
●徹底的に「勝ち組女」――北条政子
●上杉謙信「女性説」を検証する!
●「婚期を逃した女」のいばら道――茶々
●今こそきちんと知りたい「男色の日本史」
●「不思議ちゃん」の愛されレッスン――坂本龍馬
●「男装の麗人」のセクシュアリティ――川島芳子

……などなど、巷にあふれる「男のための日本史」にツッコミいれつつ乙女目線で日本の歴史を読み直す、日本初「女子のための日本史本」誕生! 」


日本史を乙女目線で読みなおすと聞くと、単なるスキャンダル史になりそうなイメージですが、決してそれだけではありません。イケメン・男色・夜這い・大奥・花魁・鹿鳴館など、それっぽいキーワードは並びますし、その当時の性事情などについての言及もありますが、単なる下世話とは違い、ちゃんと読み物としても面白いんですよね。

例えば、明治維新の頃から、次第に女性は表舞台からは遠ざけられるような存在とされてしまいますが、それ以前も(完全に同権とは言わないまでも)決して男性よりも下に見られていたわけではないことが解説されています。こうした女性史的な視点が感じられるこそ、とても面白い読み物になっているのでしょう。

まぁ、やや乱暴で誤解を招きそうな表現も多いですし、そんな部分をひっくるめても、楽しく読める内容でした。歴女の方や、これまでのオッサン目線の歴史に興味が持てなかった方には最適ですし、私と同様のオッサン世代から見ても十分に楽しめるでしょう。

同じシリーズの、「乙女の日本史 文学編」「乙女の美術史 日本編」あたりも興味がありますので、ぜひこちらも読んでみたいと思います!


【乙女の日本史】の関連記事

  • 『偽書「東日流外三郡誌」事件 (新人物文庫)』~戦後最大の「偽書」事件を追ったルポルタージュ。推理小説より面白い!~
  • 『承久の乱-真の「武者の世」を告げる大乱 (中公新書)』~鎌倉時代の政治や社会について、素人にも分かりやすく解説した良書!~
  • 『東大寺のなりたち (岩波新書) 』~東大寺前史からの歴史を平易に解説。知らなかった事柄も多く、もう一度読み直したい良書です!~
  • 『天誅組―その道を巡る (京阪奈新書)』~奈良県内を中心に「天誅組」ゆかりの地をまとめたディープなガイドブック~
  • 『沈黙する伝承―川上村における南朝皇胤追慕 (あをによし文庫)』~資料を読み解き「後南朝」の人々がよりリアルに。読み応えのある良書です!~
  • 『遣唐使 阿倍仲麻呂の夢 (角川選書)』~阿倍仲麻呂の生涯に、万葉学者・上野先生が真っ向から挑んだ力作!~
  • 『応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)』~ややこしい京都の大乱を扱いながら、大和の描写も多く読み応えあり!~
  • 『歴史のなかの大地動乱――奈良・平安の地震と天皇 (岩波新書)』~奈良時代に頻発した地震は宮廷にどのような影響を与えたのか?良書です!~
  • 『六国史―日本書紀に始まる古代の「正史」 (中公新書)』~6つの国史についてエピソードとともに分かりやすく解説。良書!~
  • 『怨霊とは何か - 菅原道真・平将門・崇徳院 (中公新書)』~中世の人々にとって怨霊とはどういう存在だったのかをわかりやすく~
  • 『寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書)』~公家と武士に匹敵する力を持った中世の寺社。その成立過程を解説した良書~
  • 『正倉院文書の世界―よみがえる天平の時代 (中公新書)』~行政から写経所の衣食住まで。正倉院文書をわかりやすく解説した良書~


  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ