縄文美術館
縄文時代の土器・土偶など550点の写真集。読みやすさ抜群!優れたデザイン性に感動です!
縄文時代のさまざまな土器・土偶など550点の写真集。難しい専門用語や解説は極力省き、平易にビジュアルで魅せる作りになっています。現代人が思いつかないような造形美に、思わず声が出てしまいますね。デザイナーさんなどにも、縄文的なデザインのヒントが詰まった便利な一冊になるでしょう。
説明文:「最新の縄文図鑑。縄文時代の各時期を代表する土器・土偶の優品550点を美しいオールカラー写真で紹介する。専門家による簡潔な解説と、出土遺跡・収蔵先リスト付き。」
本書では、時系列や発掘された地域ではなく、各テーマごとに分類しています。縄文人の生活ぶりが分かる「生活雑器」類(釣り針やかごなど)、石や漆などを使った装飾品、華やかな装飾が加えられた土器群、人や動物が描かれた文様、人の形を模した土偶・岩偶、祭祀の広場の様子。同じテーマの写真が同じページにずらりと並べられているため、とても見やすいですね。
縄文人にとってもっとも身近な獲物だったイノシシを象った土製品など、さまざまなパターンがあることが分かりますし、他にもクマや犬、さらにはシャチを模したとされるものまで見つかっています!また、土器の文様にも動物や人間が描かれており、このデザインが素晴らしいんですよね。とてもプリミテイブで呪術的で、引き込まれるような魅力があります。
また、掲載されている土偶たちも、素晴らしいものばかりですね。長野県・棚畑遺跡で見つかった有名な「縄文のビーナス」や、山形県・西ノ前遺跡の日本最大の土偶(縄文の女神?)など、流れるようなデザインの造形のものや、もっと粗っぽい作りの、いかにも古代のものらしい土偶など、見ていてまったく飽きません。
学術的な本であれば、どうしても情報に目がいってしまいがちですが、本書では、写真ページの隅に発掘場所・文化財指定の有無を書いてあるだけと割り切ってあり、とても読みやすいですね。巻末には所蔵先の一覧も掲載されていますので、実物に会いに行く際にも探しやすいでしょう。
縄文時代の遺物を紹介する書籍は、展覧会の図録なども含めて何冊も観て来ましたが、分かりやすさと楽しさでは、本書が圧倒的に優れていると思います。お子さんが見ても楽しめるような内容ですので、初心者さんにも最適ですね。私は図書館で借りて来ましたので、後で買い直して手元に置きたいと思います。