ビジュアル版 縄文時代ガイドブック (シリーズ「遺跡を学ぶ」別冊03)
植物を栽培し、漆製品も作る。古い縄文時代のイメージを覆す分かりやすいガイドブック
一つの遺跡について丁寧に掘り下げていく「遺跡を学ぶ」シリーズの別冊第3弾。縄文時代の文化や生活ぶりについて、現代の考古学で判明していることを分かりやすくまとめています。一つの項目に対して、テキスト2ページ・図像2ページで進んでいきますので、飽きずに読み進められますし、専門用語には欄外に説明文がついていて、読み物としても面白いです。
説明文:「日本列島に1万年近くつづいた縄文時代。それは自然と対話し、共生する道を選んだ縄文人の世界だ。原始工芸の極致とよべる縄文土器、四季折々の多彩な生業、高水準の木工・編み物、見事な装飾品、土偶などの呪具、集落や社会などをビジュアルに解説する。」
昔の教科書にあった縄文時代の記述は、「定住もせず、シカやイノシシの肉、ドングリなどの木の実、貝などの食料探しに明け暮れた野蛮な社会だった」といったイメージでした。
しかし、低湿地帯の遺跡であったため、大型の丸木舟や精巧な櫛・見事な漆器・栽培植物と考えられるヒョウタンなどが見つかった、福井県の鳥浜遺跡や、高さ20メートルもの高層建築が想定される建物跡など、巨大な縄文都市が発見されて話題となった青森県の三内丸山遺跡など、その認識は徐々に書き換えられています。
その他、網代編みされた大きな編みかごや、多彩な装飾品や土偶が見つかったり、遠く離れた地方とも塩や石などを交易していたと推定されたりしています。縄文時代の末期には初期的な農耕が始まり、焼き畑を利用した稲作まで行われていたとか。古い教科書で教わった内容とは大違いですね。
縄文人たちの平均年齢、縄文土器の柄について、大きな気候変動について、土器の発達によって何が変わったのか、四季の食糧事情、なぜ西日本よりも東日本で集落が多いのかなど、いろんな観点から縄文時代の生活を学べます。渋い内容ですが、気軽に読めるのでオススメです!