2013-05-06

平城京に暮らす―天平びとの泣き笑い (歴史文化ライブラリー)

「木簡」から平城京に暮らした下級官人たちの生活を読み取る一冊。読みやすくて面白い!

「木簡(もっかん)」に書かれた内容から、寧楽の都・平城京に暮らした人々の生活ぶりを浮かび上がらせる一冊。同じように木簡を扱った本はいくつか見当たりますが、どれもどことなく難しくて退屈そうなイメージでしたが、本書はとても読みやすくて面白かったです。図書館で借りてきましたが、付箋紙を大量に貼ったほど「へぇ~」の連続でしたから、すぐに買い直すと思います!

平城京全体で出土している木簡は、現在で約17万点。平城宮内で発掘調査が終了しているのは約3割で、さらに広い平城京内も未調査のエリアも多いため、まだまだ大量の木簡が眠っているそうです。出土した木簡に書かれた内容は、ほとんどが事務的な書類に過ぎませんが、それを書いた下級官人たちの生活ぶりや人柄が透けて見えるようなものもあり、タイムスリップしたような面白さがあります。


説明文:「八世紀に栄えた寧楽の都平城京で、人々はどのような暮らしを送っていたのか。飲食や宴会のたのしみ、労働や病気の苦しみ…。下級官人が生活の様々な場面で記した木簡を読み解き、そこから浮ぶ彼らのリアルな姿に迫る。」


とりあえず、この本を読んで面白いと思った点をメモ代わりに記しておきます。

●役所では、官人たちに朝夕の食事を支給していた(イワシで出汁をとったワカメスープなども飲まれていた)。

●平城宮内では火の管理は厳しく、そこらで自由に煮炊きはできない。大炊寮などの役所で一括で調理して配っていた

●平城京の中心を通る、幅100メートルの朱雀大路。両側に高さ6メートルの壁がそびえていたため、そこを歩いても脇に植えられた柳くらいしか見えなかった

●「衛士」「仕丁」などの使役役として召しだされた者が、都から逃亡することも少なくなかった。逃亡したものの代役として、同じ村の別の人間が当たらなければならなかった

●下級官人になるには、文字の習得は必須。練習したらしい木簡(習書木簡)や土器も見つかっているが、どんな教育制度があったのかは全く不明

●大量の木簡が見つかったことで知られる「長屋王邸跡」。邸宅内では酒の醸造が行われ、大量の米は調理され(、ともに市で販売されていたことを示す売上伝票のような木簡も見つかっている。飯も酒も提供する一大商店のような存在だった可能性もある

●出世のための査定「考」をクリアするために、奈良時代前半の役所づとめの役人であれば、年間140日の出勤で足りた


これ以外にも、欠勤の言い訳、馬や衣類を盗まれた際の被害届、支給されるメシが不味いというクレーム、下手に出て酒の支給を願うものなど、人間臭い内容がいくつも紹介されています。また、ちょっとした内容であっても、それが例えば藤原仲麻呂の乱の当日だったりして、歴史上のちょっとした証言になったりします。

これだけの木簡が出土することも、そこからこれだけの情報が得られることも不思議ですし、メモ帳すら無かった時代の人は木に覚書きをしていたのかと思うと、それもまた不思議な感じがします。住みやすい世の中になりましたねw

本書は初心者にも分かりやすく書かれていますし、奈良時代の役人たちの姿がリアルに感じられました。


『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より


【平城京に暮らす―天平びとの泣き笑い (歴史文化ライブラリー)】の関連記事

  • 『ヤマト王権誕生の礎となったムラ 唐古・鍵遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」135)』~唐古・鍵遺跡の発掘の歴史や特徴が解説されたドキュメンタリー的な一冊~
  • 『倭の五王 - 王位継承と五世紀の東アジア (中公新書) 』~倭の五王(讃・珍・済・興・武)が使者を派遣した意図は?当時の国際情勢から読み解いた一冊~
  • 『悲劇の皇子(みこ)たち (日本書紀を歩く1)』~有間皇子・大友皇子など、非業の死を遂げた22人の皇子たちを淡々と紹介~
  • 『平城京のごみ図鑑 最新研究でみえてくる奈良時代の暮らし』~平城京の“ごみ”から見えるリアルな奈良時代。分かりやすくて面白い良書です!~
  • 『ときめく縄文図鑑 (ときめく図鑑+)』~土偶や土器、装飾品など、可愛くわかりやすく紹介。初心者さんにもお勧め!~
  • 『土偶のリアル――発見・発掘から蒐集・国宝誕生まで』~土偶を発見した人々などを描いた17の文章。愛情が伝わってきます!~
  • 『古墳時代 美術図鑑 (別冊太陽 日本のこころ)』~古墳時代の物たちを美術的に見つめ直した一冊。美しくて読み応えあり!~
  • 『日本人はどこから来たのか?』~日本人の祖先はどのルートで渡ってきたのか?興奮できる一冊です!~
  • 『古代天皇誌』~神武~桓武天皇まで、古代の天皇を解説。やや駆け足で消化不良感も~
  • 『「古代史」ミステリーツアー (だいわ文庫)』~古事記・邪馬台国・蘇我氏など、古代史を17のテーマで解説。分かりやすい内容です~
  • 『瓦と古代寺院 (臨川選書)』~古代寺院の姿を、発掘調査の結果と出土した瓦から読み解いた一冊。やや難解です~
  • 『古代天皇陵の謎を追う』~関東の大塚初重先生が、関西の古代の天皇陵について語った一冊。興味深い内容です~






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ