
色即ぜねれいしょん (光文社文庫)
みうらじゅんさんの半自伝的青春小説。もてない文系少年はいつの時代も滑稽です
漫画家・エッセイスト・タレントなど、サブカル方面で幅広く活躍なさっている「みうらじゅん」さんの半自伝的青春小説です。2002年に雑誌連載された『文化系キング』という作品をもとに、大幅に加筆修正し、タイトルも改題しています。
「「僕」は仏教系男子校に通う高校一年生・「イヌ」こと乾純。彼女なし、もちろん童貞だ。ボブ・ディランに憧れ作曲に燃えてはいても、平凡で退屈な毎日―。「フリーセックスの島行かへん?」。そのひと言から、僕の夏休みはきらめき始める。友達二人とともに訪れた隠岐島で、僕らを待っていたのは…。少年が成長する姿をコミカルに温かく描く、傑作青春小説。」
紹介文はこのようになっています。みうらさん自身が京都の浄土宗系の東山高等学校の出身で、ボブ・ディランに憧れて、童貞をこじらせて…という青春時代を送っていた方ですから、ある程度は実際の体験をもとに描いているんでしょうね。私は一応はみうらさんファンですから、ある程度の贔屓目が混ざりますが、思った以上にまともな青春小説で、最後まで楽しく読めました。
暖かい家庭に育った目立たない文系少年は、思春期を迎えてもなかなか親に反抗もできず、学校でも不良グループに目をつけられないように大人しくして過ごしたりと、小さな鬱憤だけが溜まっていきます。頭の中はエロばかりでも、それを実践する方法も分からず、女の子からのほんの小さな言葉もエロに結びついたりします。はたから見れば滑稽な存在ですね。私も、特に目立ちもモテもしない文系でしたから、主人公・純の「反抗期も迎えることの出来ない自分に嫌気がさした。」という気持ちにはとても共感できます。
また、知らない間(2010年)に、田口トモロヲさん監督作品として映画化までされてたんですね!もちろん「色即ぜねれいしょん [DVD]」も販売されていました。私は図書館で単行本を借りてきたのですが、文庫本の表紙はもろに映画バージョンのようで、帯に「青春小説の金字塔、待望の映画化」と書いてあって苦笑いしました(笑)
あまり詳しいストーリーは明かしませんが、小説としては粗さもあるかもしれませんが、とても楽しい青春小説であることは間違いありません。気軽に手にとってみてください。