
2017-06-01
ランボー怒りの改新 (星海社FICTIONS)
奈良の舞台にした短編小説集。青春あり、SFあり。奈良好きは必読の面白さ!
奈良にまつわるた短編小説4編を収めた、奈良好きにはたまらない一冊。奈良在住の小説家・前野ひろみちさんのメジャーデビュー作となります。SFテイストの作品があったり、ちょっと変わった青春モノがあったり。基本的にライトノベルに分類される作品かもしれません。
舞台はすべて奈良。飛火野や東向商店街、生駒の宝山寺などなど、知った地名が続々と登場するだけでもニヤリとしてしまうのに、ちゃんとストーリーに織り込んであって嬉しくなりますね!
ある夏、ひとりの青年が斑鳩の里にフラリと現れた。泥沼のベトナム戦争を強引に継続する蘇我氏に対し、あの男が怒りの鉄槌を下す。律令国家日本の誕生を大胆に再解釈する表題作「ランボー怒りの改新」。おバカな中学生男子3人組と、ミステリアスな同級生・佐伯さん。誰にでも訪れる新緑の季節、そのひとコマを鮮やかに切り取った「佐伯さんと男子たち1993」。生駒山中に山荘を構える、仙人のごとき謎の老人。彼の元を訪れた乙女が語る、奇想天外な奈良風『千一夜物語』の行き着く先は…?(「ナラビアン・ナイト」)。そして、作家を目指す浪人生・前野弘道と、彼のもとに舞い降りた小説の女神・佐伯さんを巡る追想記「満月と近鉄」。いずれも古都・奈良を舞台とする、驚天動地の傑作4編を収録。異形の新人・前野ひろみち、ここに衝撃デビュー!
「内容紹介」より
前野さんは、かつて小説家を目指して作品を発表しており、奈良出身・奈良在住の作家さんが集まって発行した合同誌『NR』シリーズに参加なさっていました。私も1と2は読んでいますが、これがなかなか面白かったんですよね。
『NR2』の中で、前野さんは本短編集にも再録された「佐伯さんと男子たち」を掲載していて、個人的にももっとも私の好みでした。それ以降は(失礼ながら)『NR』ごと存在を忘れてしまっていたのですが、こんな形で再会できるなんて嬉しい限りです!
とくに表題作の「ランボー怒りの改新」はすごいですよ!スタローンの名作映画「ランボー」の主人公が、大化の改新の時代に現れて……という、奇想天外な設定なんですが、飛鳥時代そのままではなく、映画のようにベトナム戦争が絡んでくるという、ちょっとひねった設定で、よく出来てるなと驚きながら読みました。
四編ともそれぞれテイストが少しずつ違っていますが、どれも面白いストーリーですし、徹底的に奈良奈良していて、ニヤニヤしてしまいます(笑)
奈良出身の人気作家・森見登美彦さんとの対談も公開されています!ぜひこちらも合わせてご覧ください!