
古代史謎解き紀行〈2〉出雲編
人気シリーズの出雲編。古代出雲を読み解くキーワードは「鉄」。面白いです!
古代史の謎を解明すべく、様々なアングルからの考察を続けている古代史ライター・関裕二さんの2006年の著作です。このシリーズは、第一弾がヤマト編で、続いて本書の出雲編、その後も九州編・瀬戸内編・関東東京編とシリーズは続きました。日本全国を股にかけてそれだけの著述ができるんですから、さすがですね。
「古代神話がいまだ息づく地・出雲。ヤマトが封印した歴史の真実とは何か?謎解きの旅が、いま始まる!ヤマト建国の裏の、各勢力の知謀知略。そのキーワードは「鉄」―。古代日本の謎を雄大なスケールで描く大好評の歴史紀行、第2弾。」
私はだいぶ前にヤマト編を手に取り、斬新な推論に引きこまれたことがありました。先日、ようやく出雲へ行けたため、その復習として出雲編を読みましたが、これも面白いですね。「神話以外は何もない」とされていた出雲が、荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡から大量の銅器が発見されたことによって、一気に古代史の中心的な地域になりました。それぞれの現地をたっぷりと見学してからこの本を読むと、色んな点で腑に落ちる感があります。
アメノヒボコ・オオクニヌシ・スクナヒコナ・鉄器・銅器・出雲大社・四隅突出型墳丘墓など、古代出雲を読み解くキーワードがいくつも提示されます。そこから導き出される推論が正しいのかどうかまでの判断できませんが、散らかって見えていた様々な事象が繋がっていく快感はありますね。
文章自体はとても読みやすいのですが、古代史の知識がない方だと内容を把握するのは難しいでしょう。また、出雲へ行く前に読むか、後から読むかも難しいところですね。好みの問題ですが、私は出発前に美味しい食事処の情報などが手早く仕入れられる『古代史 謎めぐりの旅 出雲・九州・東北・奈良編』の出雲編を読んで、帰ってきてから本書を読むことをオススメします。
出雲という土地は、(奈良と同様に)知れば知るほど、調べれば調べるほど面白い場所です。出雲の不思議な魅力へどっぷりとはまるきっかけになり得る一冊ですので、古代史好きな方はぜひ!