へんな仏像 由来も形も不思議な神仏たちの大図鑑
雑誌「ムー」の連載が一冊に。形・由来が変わった仏さま約60体が続々と登場します!
由来・形など、どこか「へん」な仏像や神像を約60体収録した充実の一冊。もとは学研パブリッシングさんの雑誌「ムー」に「異相の神仏」というタイトルで連載されていた内容をまとめたものです。200ページ強でオールカラー、それでいてお値段わずか600円(税込)というのも素晴らしいです!
私は奈良県民で、仏像界のスタンダードと言うべき仏さまにお会いする機会が多いのですが、そういった文化財級の方々と、ここに掲載されているような異形の仏さまとは、時代も由来も違います。紹介されているのは、主に江戸時代ごろに関西以外で作られた仏像で、時代とともに仏教の解釈にも枝葉が広がってきて、通常では考えられないようなお姿に描かれたりするのです。この方向性に意外性があって面白いんですよね。
大まかに10章に分類されていて、鬼女・聖女、大黒様の変化、異相の阿弥陀、性神たちなどが、それぞれ2~4ページずつ紹介されていきます。フルカラーで写真も多めですし、説明書きも多からず少なからずで読みやすいですね。その仏さまにお会いするために事前予約が必要かなど、拝観情報はやや物足りませんが、それでも充分に資料的な価値もあると思います。
特に気になった仏さまを挙げていくと、八咫烏に乗った「四足八鳥(ろくろみ)観音像」、顔の前面が木のお面で覆われた「覆面観音」、手も多くて足も多い「千手千足観音」、九尾の狐から成り出た女神「九尾稲荷」、台座に首だけが乗った「教信像」、三体の大黒様が合体した「三面大黒天」「合体大黒天」など。ビジュアル的にもインパクトが絶大です。何でこのようなお姿に描かれたのかという説明を読みながら拝見すると、納得しながらもどこか腑に落ちない感も残る…という、不思議すぎる方々ですねw
この本はTwitterなどでも話題になっていて、今現在、ネット書店では品切れとなっているところが多いようです。コンビニルートがメインの流通先だと思いますので、まずはお近くのコンビニでお探しください。
余談ですが、この手の本がお好きな方は、ベストセラーとなった「へんないきもの」の著者さんが、仏さまたちの突飛なエピソードを集めたエンタメ仏教本『カッコいいほとけ』(書評はこちら)もオススメです。こちらもぜひ!