2015-10-20

入江泰吉と歩く大和路仏像巡礼

入江泰吉さんの仏像写真に、詳細な解説付き。分かりやすくてバランスのいい内容です

奈良を愛した写真家・入江泰吉さんが撮影した仏像写真に、その仏像の詳細な解説文をつけたもの。入江さんは奈良の美しい風景を切り取った作品が有名ですが、仏像の写真も数多く残しています。観て読んで楽しい内容ですし、そのまま奈良の仏像巡りのガイドブックとしても使えるでしょう。


説明文:「合掌する指先の軽み、邪神を追い払う憤怒の相、鮮やかな彩色で目を射る迫真の彫像群―。巨匠・入江泰吉の名作を厳選した仏像50選。奈良の代表的な仏像を網羅したハンディーな仏像ガイド決定版。」


収録されているのは、東大寺・興福寺・新薬師寺・西大寺・秋篠寺・浄瑠璃寺・唐招提寺・薬師寺・飛鳥寺・長谷寺・聖林寺・室生寺・法隆寺・法輪寺・中宮寺、奈良を代表する50の仏さまです。いずれも見開き2ページで、入江さんが撮影した柔らかな印象の仏像写真が掲載され、つづく2ページに詳細な解説がつけられます。

この手の本の解説文は、仏像初心者さん向けにわかりやすさ優先になりやすいのですが、本書はしっかりと仏さまの由来や製作者、特徴などにも触れています。

例えば、東大寺・法華堂でご本尊の不空羂索観音立像の脇侍として祀られていた「伝日光菩薩立像・伝月光菩薩立像」についても、この2体はもともとは別の仏さまとして作られたもので、江戸時代に初めてこの尊名で呼ばれるようになったということを紹介しています。ちなみに、本来は梵天・帝釈天像だったという説、菩薩の下の位にあたる縁覚(えんがく)の像であるという説などが合わせて紹介されています。仏像写真集の解説文でこういう内容まで踏み込むことは少ないので、ちょっと意外でした。

どのページを美しいですし、読み込んでも勉強になる一冊です。2007年の出版で、私は図書館で借りてきましたが、手元においておきたくなりました。


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