古代人なるほど謎解き100話
古代人の生活や風習を100項目解説。分かりやすい良書です
古代人の生活や風習について、100の項目について分かりやすく解説した一冊です。扱う時代は、古代~平安時代ごろまで。一つの項目について見開き2ページで解説しているため、それほど深みはありませんが、現代人の常識からは想像しづらい生活ぶりなども身近に感じさせてくれる良書だと思います。
掲載されている項目を適当に挙げてみると、身長・体重・ヒゲ・衛生・寿命・恋愛・性関係・離婚・履物・イレズミ・メニュー・おかず・お酒・調味料・狩猟・ことわざ・トイレ・行事・イヌ・ネコ・タブーなど。身近な100項目が選ばれていますが、よく考えてみると古代の人たちがどうしていたのか、にわかには思いつかないようなことばかりです。
例えば、各時代の男性の身長について比べてみると、ただ「現代人よりも低い」というイメージですが、縄文時代:157cm前後、弥生時代末期:164cm前後、古墳時代:163cm前後。奈良時代から平均身長は下がっていき、明治時代初期:約155cm、現代:約171cmとなるのだとか。意外と古代人は高身長だったんですね。その当時の社会背景によって大きな差が出るようです。面白いですね。
また穀物の項目では、有名な「五穀」も、日本書紀ではイネ・アワ・ヒエ・ムギ・マメが、平安時代にはイネ・モチキビ・タカキビ・マメ・ムギが、鎌倉時代にはイネ・オオムギ・コムギ・ダイズ・アズキと、イネ以外は変化しているのだとか。また、味噌や醤油が一般化するのはもっと後になりますから、素材に凝った貴族の豪華なごちそうも塩やお酢で味付けするしかなかったりします。このような食生活を想像してみるだけでも楽しいですね。
この他、気になった点を簡単にメモしておきます。
●自由な恋愛を交わしたとされる「歌垣」も、共同体の人口を維持するために、年長者から積極的に参加することを求められていた(その当時の平均寿命は30歳前後)
●蘇我氏の人物の名前に馬子・蝦夷・入鹿などの動物名が入るのは、野生動物の強い生命力を取り入れたいアニミズムによるものだとか
●上野の国に古代に建てられた石碑で、山ノ上碑・多胡碑・金井沢碑という3つを総称して「上野三碑」という。中でも多胡碑は書道的な価値も認められているとか
私は古代史の本などをよく読んでいますが、そこに登場する人たちがよりリアルに感じられる手助けになってくれますね。面白かったです!