2012-04-14
ヤマトの王墓―桜井茶臼山古墳・メスリ山古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
磐余地区の初期の大型古墳2基を詳細に解説した一冊
日本全国の古墳などを紹介する「遺跡を学ぶ」シリーズの一冊。ヒミコの墓とも目される「箸墓古墳」を含む纏向古墳群などから数キロ南に位置する、「桜井茶臼山古墳」(全長200m)と「メスリ山古墳」(全長224m)の巨大古墳たちを取り上げています。
この2つの巨大古墳ある場所は、古くは「磐余(いわれ)」と呼ばれた地域だと考えられています。箸墓古墳などとは違い、前方部の裾が広がったバチのような形ではなく、広がらない「鏡柄型」というような形状なのが特徴。また、「玉杖(飾りのついた杖)」というものが副葬品となっているのも面白いですし、メスリ山古墳では、他ではあまり見られない2mを超す巨大な円筒埴輪が見つかっているのも特徴です。
この一帯には、初期の大型古墳「箸墓古墳・西殿塚古墳・桜井茶臼山古墳・メスリ山古墳・行燈山古墳(崇神陵)・渋谷向山古墳(景行陵)」6基が密集しており、その形状などから、様々な説を導き出しています。もちろん、すぐに正解が判明するようなものではありませんが、単純に世代が移っていたただけではない、色んな想像が膨らみますね。
画像も多く、専門用語は出てきますが文章も平易ですから、古代の大和に興味がある方はぜひ手にとってみてください。順番で言うと、先に同シリーズの「箸墓古墳」を読んでおくと分かりやすいと思います。