2012-04-02
最初の巨大古墳・箸墓古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
卑弥呼の墓と目される箸墓古墳の姿を分かりやすく解説
日本全国の古墳などを紹介する「遺跡を学ぶ」シリーズの一冊。卑弥呼の墓と目されている箸墓古墳について詳細に、そして分かりやすく解説してあります。箸墓古墳の話題になると、邪馬台国論争が絡んできてしまうため、どうしてもセンセーショナルになりがちですが、この本では筆者の見方もまじえながらも冷静に分析しています。
個人的には色んな発見がありました。古墳と外堤の間に両側を石積みした「土橋」がかけられていたというのは全く知りませんでした(工事用のものか…とのこと)。また、この時代から聖なる土地と考えられた箸墓周辺にも、少しずつ年代の違いがあり、二上山の西側にピークを持つ芝山という山から採取された玄武岩を使用したり、時代が下ると少し奥から採取したりしているとのこと。これこそが、日本書紀に「昼は人民が造り…」などと記載された工程だったようです。
この他にも、この辺りの前方後円墳は前方の部分が広がった「バチ」状になっているものが多かったり、他の古墳が後の時代に削られたりしたのに関わらず、古くから天皇家の関連の陵墓だという言い伝えがあった箸墓古墳はほぼ当初の姿をとどめているそうです。さらに、出土品の比較などもとても面白いものでした。有名な箸墓古墳だけに、色んな情報を見聞きしてきたはずなんですが、知らないことは多いものですね。最後までとても興味深く読めました。