2012-02-08

図説 最新日本古代史

2008年の古代史本。短い章立てで比較的読みやすいです

2008年に発売された古代史本。弥生時代から長屋王までの長い時代を扱っています。一つのテーマを深く掘り下げるのではなく、短めの章立ててポンポンと展開していくので、最後まで飽きずに読めます。

邪馬台国の所在地などはもちろんですが、古代史の真相は未だに解明されていない点も多く、書き手によって立ち位置が変わるため、どの本も鵜呑みにすることはできません。本書では短めのセンテンスで断定口調で書いている部分も多いのがやや引っかかりますが、それと引き換えに読後の爽快感(=腑に落ちた感)もあります。その点さえ間違えなければ、とても楽しい一冊だと思います。

特に、初期ヤマト大権(古事記 中巻くらい)の記述は分かりやすいですね。当時の韓半島の状況が深く関わってくるだけに、今までおぼろげにしか理解できていませんでしたが、整理されていてとても読みやすかったです。河内王朝説や倭の五王の解釈など、これからもうちょっと深く調べてみようと思うきっかけになりました。

ちなみに、筆者の方の邪馬台国論争へのスタンスは、「倭国の首都は二つあった」説をとっています。卑弥呼が居た倭国は九州にあり、その死後、壱与が定めた新しい倭国の首都(=邪馬台国)は畿内にあった…と。なるほど。


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