2011-08-02
壬申の乱を歩く (歴史の旅)
古代日本の内乱「壬申の乱」の戦の足跡を丁寧にたどった一冊
672年に起こった、古代日本の最大の内乱「壬申の乱」。1350年も経った今、古い文献に残る戦の足跡を丁寧にたどっています。
壬申の乱を物語として読むと、大海人皇子(後の天武天皇)と鸕野讚良(後の持統天皇)が吉野へ出奔。天智天皇の死後、鈴鹿と美濃の要所を抑え、近江の大友皇子に勝利する、こんな流れに過ぎません。しかし、地図上でたどると、大津宮から吉野への100km近い道のりをどのルートで入ったのかなど、視覚的に理解できます。
少人数とはいえ、女性連れで険しい芋峠などを超えなくてはいけないのですから、大変だったことは間違いないでしょう。そんな一行が、追手の影を気にしながら、現在の24号線の辺りを真っ直ぐ南下して飛鳥を抜けて…と想像すると、一気にリアリティーが増してきます。また、実際の戦闘(大海人は戦いには参加していません)の様子や場所なども細かくたどっていて、意外なほど呆気ない結末だったことも分かります。
正確な場所すら不明になっている壬申の乱の関連地ですが、この本があれば戦国時代の合戦のように、その足跡を追うことができます。かなりマニアックな内容ですが、古代史好きな方は一読してみるといいでしょう。