図解 ここが見どころ! 古建築
古建築の見どころを実例を挙げて細部まで解説。これは分かりやすい!
奈良や京都の寺院・神社などの「古建築」の見どころについて、丁寧なイラストを使って事細かに解説した一冊。
私自身、好きで古建築をよく見ていますが、その違いはアバウトにしか把握していません。この本は細かすぎるほどのイラスト例が掲載されていて、パーツの名称から、それがどんな特徴なのかまで、具体的な例を挙げながら丁寧に解説されています。
説明文:「春日大社、法隆寺、桂離宮…誰もがその名を知っている古建築の「見どころ」だけを、時代の流れにそって、完全図解。専門用語にはすべて振り仮名を付し、実際の見学の順番に沿って解説しているので、建物の特徴と「意味」が具体的に学べる。「見どころ」がわかれば楽しさ倍増。本書を片手に、もう一度、古建築を見に行こう!」
主要目次
■神社
1 住吉造 住吉大社本殿 切妻屋根の直線美
2 春日造 春日大社本殿 「反り」に見る仏教建築の影響
3 流造 上賀茂神社本殿 片側に延びた屋根がつくる人の空間
4 日吉造 日吉大社本殿 三方に出た庇と神仏習合の影響
5 八坂造 八坂神社本堂 神と人の空間の一体化
■寺院
1 飛鳥様式 法隆寺西院伽藍 仏の教えを運んだ雲形の組物
2 和様 興福寺五重塔 三手先組物の典型
3 大仏様 東大寺南大門・大仏殿 挿肘木がつくる力強いデザイン
4 禅宗様 大徳寺三門・仏殿・法堂 曲線の多用と密集する組物
5 折衷様 鶴林寺本堂 様式美のカオス
■書院・数寄屋・茶室
1 書院造 西本願寺書院 格式を表現する天井・欄間・座敷飾
2 数寄屋風書院造 桂離宮御殿群 格式・規格を排した自由なディテール
3 茶室 曼殊院小書院・八窓軒茶室 数寄の精神を伝える茶室建築の典型
こうした古建築は、同じような年代の建物でも少しずつ様式の変遷があります。その移り変わりを実例を挙げて学べるので、とても興味深かったです。
例えば法隆寺であれば、後の「和様」につながる飛鳥様式が見られ、それを理解するためのポイントは「軒下」を見ることだとか。単に「こういう特徴です」だけではなく、飛鳥様式の法隆寺金堂、白鳳和様の海龍王寺五重小塔、天平和様の唐招提寺金堂というように、比較のイラストがあるのが特徴で、これがとても分かりやすいんですよね。
肘木・垂木・桔木・木鼻・蟇股・虹梁・三手先・藁座・桟唐戸などなど、ややこしい専門用語が連発しますが、丁寧なイラストで「ここ」と指し示してあるので、(理解できるかはともかく)場所は分かりやすいです。
「古建築の細部を見比べて特徴を知ってみたい」という方には最適でしょう。私も何度も読み直して、この本を片手に現地へ行ってみたいと思います!