2014-10-03
失われた近代建築 I 都市施設編
すでに取り壊されてしまった美しい近代建築の写真集。「奈良県庁舎」とか惜しかった…
国内の様々な建築物を紹介する「建築探偵」シリーズ(推理小説ではない方)の、写真家・増田彰久さんが撮りためてきた、もうすでに現存していない建築物の写真集。すべてにパートナーの藤森照信さんの文章もついていて、その建物の特徴や特殊性などが解説されます。
経済的な理由もあるのでしょうが、美しい近代建築がすでにこれだけ失われているかと思うと、残念でなりません。切ない気持ちになりますね。
説明文:「消されてしまった日本。もう、写真の中でしか見ることができない、明治・大正・戦前の荘厳なる文化遺産。とくに歴史的価値の高い52施設と巻末リストの48施設、計100施設の建築写真を収録。」
本書で紹介されているのは、オフィスビルや金融、官公庁の52の建物たちです。
関西では、大阪の大ビル・そごう百貨店・大同生命本社ビルなどが紹介され、奈良の奈良県庁舎(明治28年竣工。天理へ移設され「天理教いちれつ会館」として使用され、平成2年以前に解体)が登場しています。
こうした本は好きでよく読んでいますが、本書は写真が大きく掲載されていて、とても見やすいですね。村野藤吾さんが担当した大ビルの壁面の高い位置に、怪人や鬼、ライオンなどに混ざって、ブタの顔が取り付けられいたところなど、はっきりと確認できました。
本書は第一弾の「都市施設編」で、同シリーズの『文化施設編』も発売されています。こちらも探してみたいと思います。