日本木造遺産 千年の建築を旅する
美しい木造建築物が続々と。大判で写真も美しく、藤森照信氏の解説もさすが。良書です!
日本の美しい木造建築物を集め、建築史家の藤森照信さんが文章を、写真家・藤塚光政さんが撮影を担当した一冊。雑誌「家庭画報」での連載をまとめたものだとか。大判の書籍で、撮り下ろしの写真も迫力があって見事ですし、建築探偵こと藤森さんの解説もさすが。木造建築好きにとってたまらない内容でした!
説明文:「家庭画報で2年間にわたって掲載された好評連載「日本の木造遺産」がついに一冊に。日本の木造建築を扱った本が数多ある中で、本書はユニークな文体で知られる建築史家・藤森照信氏と、建築写真のありようを変えた建築写真家・藤塚光政氏が日本中の個性的かつ風変わりな木造建築を訪ね歩いた紀行エッセイであり、日本木造建築のエッセンスを知る具体的なガイドにもなっています。建築を学ぶ学生はもちろん、日本文化の深奥に触れたい読者には、非常に間口の広いわかりやすい内容です。藤塚氏が粘りに粘って撮り下ろした美しく迫力に満ちた写真も必見! 」
本書で取り上げている木造建築は、以下のようになります。
浄土寺浄土堂・平等院鳳凰堂・錦帯橋・松本城・大瀧神社・奈良井宿中村邸・金峯山寺 蔵王堂・旧金毘羅大芝居(金丸座)・赤神神社五社堂・臨春閣・投入堂・屋根付き橋・蓮華王院三十三間堂・出雲大社御本殿・笠森寺観音堂・成巽閣・会津さざえ堂・菅の船頭小屋・富貴寺大堂・瑠璃光寺五重塔・坪川家住宅・茶室 如庵・嚴島神社
中には私がまったく知らなかった建物もありますし、もう何度も拝見して感動したものもあります。どれも木という素材を駆使し、薄い板にしたり、丸い材木にしたり、細かい細工を施したり、細部まで見ていくとバリエーションの豊富さに驚かされるものばかりです。
また天板を省いたり、自然木をそのまま使用して木の霊力を得ようとしたり。知れば知るほど木造建築の凄みが感じられるようになります。
冒頭の藤森さんの言葉にありましたが、「石の建築ならイタリア、木の建築なら日本を見ればいい」。日本ではどの木を使うか、どの樹齢のものを選ぶかなどの選択肢が豊富で、加工する道具や技術もずば抜けて豊富です。ここまで広く木の加工技術が庶民にまで行き渡っていた国は、他にはなかなか見つからないでしょう。
大きな画像を何枚か、建築史家からの解説、写真家の言葉など、各項目6~10ページくらいで構成されています。やや難しい用語も使われますが、見ているだけでも迫力がありますから、理解できればとても楽しいでしょう。木造建築好きな方はぜひ!