あしたから出版社 (就職しないで生きるには21)
一人出版社「夏葉社」島田さんの体験談を語った一冊。こんな生き方もあるんですね!
一人だけで出版社「夏葉社」を設立した島田さんが、そのきっかけや体験談を語った一冊。
以前に『本屋図鑑』(紹介記事)を読んでますし、ここがほぼ個人で運営しているユニークな出版社さんということは知っていましたが、なかなかの波瀾万丈っぷりに驚きました!
なお、てっきり自社から出した本かと思っていたら、晶文社さんの人気シリーズ「就職しないで生きるには」のラインナップでした。以前から何冊か読んでいますが、「本当にいろんな生き方があるな」とどこか肩の力が抜けたり、励まされたりしますね。
説明文:「「夏葉社」設立から5年。一冊一冊こだわりぬいた本づくりで多くの読書人に支持されるひとり出版社は、どのように生まれ、歩んできたのか。アルバイトや派遣社員をしながら小説家を目指した20代。挫折し、失恋し、ヨーロッパとアフリカを旅した設立前の日々。編集未経験からの単身起業、ドタバタの本の編集と営業活動、忘れがたい人たちとの出会い…。これまでのエピソードと発見を、心地よい筆致でユーモラスに綴る。」
夏葉社さんは、海外の詩や廃盤になった物語などを復刊したり、オリジナルの企画を立ち上げたりしている出版社さんです。社長の島田さんはよほどの本好きの方かと思いきや、20代はアルバイトをしながら小説家を目指していて、編集の経験などもなかったのだとか。
親しかったいとこの死をきっかけに、自ら出版社を立ち上げたというのですから、まぁ変わっています(笑)
後から思い出して書いた文章ですから、どのエピソードも危なっかしいことこの上なく、私が友人だったら「そんな無謀なことをするのは止めておけ」と忠告したでしょう。淡々とした書きぶりから、どの程度の苦労があったのかはうかがい知れませんが(資金ショートの予感にうなされたのは伝わってきました)、よく続いていると感心してしまいます。
この方の生き方を目指していいものかどうかはどもかく、この生きづらい世界でも、こんなゆるいスタイルが通用するという事実は忘れずにいたいですね。同シリーズの他の本も読んでみたいと思います!