読まされ図書室
女優・小林聡美さんが人から推薦された本を読み、感想を書き綴った一冊。いい企画ですね
女優・小林聡美さんが、毎回いろんな方々が推薦した本を読み、その感想を書き綴った一冊。雑誌『リンネル』『大人のおしゃれ手帖』に連載していたエッセイに、よしもとばななさんとの長めの対談を加えて単行本化したものです。
推薦者はとりあえず自分の好きな作品であったり、小林さんが読んだことがなさそうなジャンルの作品であったり、何かしらの意図を持ってお勧めしているんですが、時代もジャンルもバラバラの本が集まりました。読むだけでも大変だと思いますが、その内容を小気味いい文章で紹介していて、とても楽しい内容になっています。
説明文:「個性派女優・小林聡美の書き下ろしエッセイ。老若男女、様々な職業&年齢の方々が自分勝手に推薦した本の数々に、小林聡美はどんなエッセイで返球するのか…。推薦者と小林さんとの意外な関係性、推薦者の無茶振りも楽しみのひとつ。推薦者に名を連ねるのは、よしもとばなな、飯島奈美、皆川明、井上陽水、長塚圭史、群ようこ、酒井順子…etc.「Suicaのペンギン」などのキャラクターでおなじみのイラストレーター・さかざきちはる氏が、エッセイを読んで描きおろしたイラストも見所。特別特典として、よしもとばなな×小林聡美のスペシャル対談も掲載。」
私自身のことを考えると、もう「人から勧められた本を読む」という機会はほとんどありません。基本的に自分が情報に辿り着いた本、棚で見つけた自分好みの本を読むだけで満足しているため、あまり新ジャンルのものに手を伸ばす必要性すら感じていませんし、ましてやそれが他者からの推薦となるとプレッシャーもありますね。
小林さんの手元にも、これまでまったく触れてこなかったような世界観の本も集まってきましたので、それを読みこんで、さらに感想やら体験やらをエッセイに綴らなければいけない……というのは、大変な作業だったと思います。
しかし、それをとても楽しそうに、軽々とこなしていらっしゃるからすごいですね。文章のリズムがよく、感覚的に伝わってくる、親しみやすい文章を書ける方ですね。登場した本も何冊も読んでみたくなりました。
●群ようこさん推薦の『神使になった動物たち―神使像図鑑』(福田博道著)
●酒井順子さん推薦の『股間若衆―男の裸は芸術か』(木下直之著)
●宇多喜代子さん推薦の『酒薫旅情 -琵琶湖が誘う酒と肴の俳諧民俗誌』(篠原徹著)
などが興味深かったので、ぜひ探してみたいと思います。
また、装丁も凝っていて、昔の図書館にあった貸出カード(今もあるのか?)を模した目次がついています。細部まで気を配ってあって、楽しさが増しますね!