偶然の装丁家 (就職しないで生きるには)
変わった経緯で装丁家になった矢萩多聞さん。こんな生き方もあるんですね!
晶文社「就職しないで生きるには」シリーズの一冊。ほぼ就職経験のないままフリーランスで活躍している方々の自叙伝的な内容で、こちらは装丁家として活躍する「矢萩多聞」さんの回。これまでにも何冊か読んでいますが、この方も不思議な経歴の持ち主ですね。就職活動で悩んでいる若者に読ませたら、(いい意味にも悪い意味にも)影響が大きそうな内容でした(笑)
説明文:「「いつのまにか装丁家になっていた」―。中島岳志や森まゆみの著作をはじめ、小説、学術書、ビジネス書など、幅広く「本の貌」を手がける矢萩多聞。学校や先生になじめず中学一年で不登校、一四歳からインドで暮らし、専門的なデザインの勉強もしていない。ただ絵を描くことが好きだった少年はどのように本づくりの道にたどり着いたのか?気鋭のブックデザイナーが考える、これからの暮らしと仕事。 」
本の説明の部分から、より詳細な著者プロフィールを。
「1980年、横浜生まれ。画家・装丁家。中学1年で学校をやめ、ペンによる細密画を描きはじめる。95年から、南インドと日本を半年ごとに往復し、日本帰国時に個展をひらく。2000年、日印コミュニティサイト「Indo.to」をオープン。運営・編集・デザインをてがけ、日印交流イベントを多く企画する。02年から本づくりの仕事にかかわるようになり、これまでに350冊を超える本をてがける。12年、事務所兼自宅を京都に移転。現在はインド・バンガロール―横浜―京都を行き来し、装丁、ペン画、イベント企画など多岐にわたって活動をくり広げている。著書に『インド・まるごと多聞典』(02年、春風社)がある。」
少年時代からインドと日本を半年ごとに往復して生活するという、なんとも珍しい生活スタイルを送られていますが、そのあたりの描写がふわっとしていていい味が出てます。親御さんたちと一緒にインドとの往復生活を続けていたそうですが、こんな人生もあるんですね。
そんな生活から、趣味で描いていた絵が仕事になり始め、現在はどのようなことをやっているのか……と解説されていくのですが、荒っぽいフィクションのような不思議な展開に驚くばかりでした。
「本当にいろんな人生があるんだなー」「こんな地点から、いまではこうして頑張ってはるんだなー」ということが実感できるだけでも、このシリーズは好きです!