“ひとり出版社”という働きかた
全国のほぼひとりで運営される出版社。大変そう&楽しそう!刺激になります
全国の「ひとり出版社」を取材した一冊。出版不況が続く中、さまざまな土地でほぼ自分ひとりで出版社を立ち上げ、全国へと流通させている企業を紹介しています。フリーランスの者として、参考になったり、刺激を受けたり。楽しく読了しました。
説明文:「ミシマ社、港の人、里山社、赤々舎…“小商い“の一形態として注目される13の「ひとり出版社」を通して、働きかたのヒントを探る。」
きっかけとなった本は、社会主義者として知られる大杉栄の著書だったり、偶然出会って気に入った絵本であったり、被災地の方々を写した写真集であったり。自分が好きな本や物語をたくさんの方に届けるため、皆さん、自然とスタートしたという印象を受けます。
とはいえ、企画・著者との打ち合わせ・編集・営業などあらゆる実務をこなす必要があります。どう考えても簡単なことではないでしょう。前書きには「小商い」というキーワードが登場していますが、その言葉が相応しいかどうかは疑問です。特に、ある程度の刊行点数がそろうまでが大変なようで、資金面で苦しんだり、企画が見当たらずに苦しんだりするようです。
しかし、インタビューではどなたもあまり苦労を口にしていませんし、どこかひょうひょうと楽しんでいらっしゃる感があります。ある意味では理想とする働き方が実現しているようです。本との関わり方も多様化していて、まだまだやり方はあるのかもしれません。希望が見えますね!
メモ代わりに書いておきますが、こうした「ひとり出版社」が増えたのに対応するように、書店への配本を行ってくれる「ひとり取次」というべき存在の「ツバメ出版流通」( http://tsubamebook.com/ )というサービスなども登場しているのだとか。なるほど。いつか必要になるかもしれないので覚えておきたいと思います。
少し前に発売されたムック本『小さな出版社のもっとおもしろい本』などと合わせて読んでみるといいですね。