本で床は抜けるのか
蔵書家ならではの悩みについて調べたルポ。筆者の大量の本はどうなる?引きこまれました!
仕事柄、大量の本を所有するライターが、古いアパートを書庫兼作業室として借りたことから、「本で床は抜けるのか?」という疑問に取り憑かれ、その話題を追いかけたルポ。本好きの間ではそんな話題になることも少なくありませんし、気軽に手にとってみただけでしたが、興味深く一気読みしてしまいました!
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説明文:「WEBマガジン「マガジン航」で連載開始するや驚異的なアクセス数を獲得、読書家の間で大きな話題を呼んだ連載『本で床は抜けるのか』が単行本に!
「大量の蔵書をどう処分するか」という問題に直面した作家が、同じ問題をかかえた著名人をたずね、それぞれの具体的な対処法を紹介するノンフィクションです。
2012年、著者が仕事場として都内の木造アパートを借りるところから話ははじまります。狭いアパートの床にうず積み上げられた本、本、本。「こんなに部屋中本だらけだと、そのうち床が抜けてしまうのでは?」と不安におそわれた著者は、最良の解決策をもとめて取材を開始。蔵書をまとめて処分した人、蔵書を電子化した人、私設図書館を作った人、大きな書庫を作った人等々。
これらに加えて、「東日本大震災と本棚」「自炊(電子化)代行は違法なのか」など、近年話題となったトピックにもふれ、さまざまな角度から「モノとしての本」をめぐる問題にアプローチします。
「蔵書と仕事」「蔵書と家族」という悩みは、世間の愛書家、読書家にとってもけっして人ごとではないはず。はたして著者は蔵書をどう処分するのか? アパートの床は抜けずにすんだのか?」
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大まかな目次は以下のようになっています。
1 本で床が埋まる
2 床が抜けてしまった人たちを探しにいく
3 本で埋め尽くされた書斎をどうするか
4 地震が起こると本は凶器になってしまうのか
5 持ち主を亡くした本はどこへ行くのか
6 自炊をめぐる逡巡
7 マンガの「館」を訪ねる[前編]
8 マンガの「館」を訪ねる[後編]
9 本を書くたびに増殖する資料の本をどうするか
10 電子化された本棚を訪ねて
11 なぜ人は書庫を作ってまで本を持ちたがるのか
12 床が抜けそうにない「自分だけの部屋」
自らの引っ越しをきっかけに、過去の書籍に書かれた「本で床が抜ける」エピソードを探し、実際に体験者を探し。実際のところ、置き方や物件によっては床が抜けることもあるそうです。
そこから、「大量の本を抱えた方が亡くなったら、その蔵書はどうなるか?」といった話題にも触れるなど、タイトルからはやや外れたような話題もあり、それほど厳密に探求した内容とはいえません。
しかし、筆者はもとより、登場してくる方たちすべてが本好きで、本を大量に買い込むタイプの方がばかりなので、呆れながらも親近感がわきますね。なかなか不思議なルポになっています。
結局のところ、筆者の大量の本は、連載末期までほとんど減りません。床も抜けません。しかし、最終章に近づいたころに急展開が。一気に問題は収束していきます。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ちょっとびっくりしました(笑)
決して人に「読むべき本」として勧めるようなものではありませんが、個人的には最後までとても興味深く読めました。本好きで、床が本で埋まった経験のある方などは、かなり共感できると思いますので、よろしければ。