2015-01-21

本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)

ライフネット生命CEOの読書術。硬派!本と真正面から対峙していて清々しいほどでした!

保険業界に革命を起こしたと言われる、ライフネット生命CEOの出口さんによる読書論。何かのきっかけで興味を持って、手にとってみました。

多忙を極める企業トップの方の読書術ですから、「まずは目次を読む」「興味のないところは飛ばして、好きなページだけ読めばいい」「速読を心がける」というような内容かと思いきや、この真逆です。本と真正面から対峙していることが伝わってきて、清々しいほどでした。


説明文:「いかにして「考える力」を養うか。1行たりとも読み飛ばしてはいけない。何百年も残った古典は「正しい」。何かを学ぶなら「厚い本→薄い本」の順。「自分の頭で考える力」をつける読書。注目のライフネット生命経営者にして稀代の読書家による新書・初書き下ろし!」


出口さんの本の読み方は、ある意味とても実直です。どの本とも、正座しながら読むような真摯さで向き合うのだそうです。

・読書は教養を身につける最良の手段
・1行たりとも読み飛ばしたりしない
・時代の超えて生き残ってきた古典作品が優先
・流行りのビジネス書などは決して読まない
・本文の最初の5ページを読んでみて、面白くなかったら諦める
・読み始めたら必ずじっくりと最後まで読み通す
・ある事柄を調べようと思ったら、先に厚くて難解そうな本から読む

こうしたスタイルで、移動中や寝る前の1時間を読書時間として、たくさんの本を読み続けているのだとか。本を増やさないため、なるべく図書館へリクエストを出しているそうですから、企業トップの方としてはかなりユニークでしょう。

本書の中で深く納得できたのは、ネットと書籍の使い分けに関する考え方でした。

アダム・スミス『国富論』の内容は、ウィキペディアを使えば大まかな考え方は把握できます。私たちはそれだけで国富論のエッセンスを身につけた気になってしまいます。

しかし、出口さんが重視するのは、実際に国富論を読んで、「今から250年ほど前に、どのような考え方をして市場経済の原理を見つけ出したのか」ということを感じながら、その思考プロセスをたどり、アダム・スミスの思考過程を追体験することが重要なのだと言います。

なかなか難しいことですが、これはまさに真理でしょう。ノウハウをなぞってみても、真にその思考が身についたとは言えません。じっくりと良書を読み込むことで、思考回路までも身につけられるんですね。

とはいえ、私自身この方法が実践できる自信はありません(笑)

巷にあふれる気軽な読書術へのアンチテーゼのような一冊ですので、かなり刺激的です。本好きな方はぜひ!


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