重森三玲の庭案内 (別冊太陽 太陽の地図帖 26)
東福寺・八相庭で知られる作庭家・重森三玲さんのガイド本。全作品を巡りたくなります!
モダンなデザインで有名な、京都・東福寺の「八相庭」を作ったことで知られる、近代の作庭家・重森三玲さんの作品のガイド本。全国58の庭を紹介してあり、住所や拝観可能な時期など、詳細な情報も掲載されているので、重森三玲さんのお庭巡りに必携です。
説明文:「三玲の庭。三玲の言葉。時代を超えて新しい、昭和の名作庭家の軌跡。」
日本の伝統的なお庭は、草木水石砂などを使用して作られますが、重森三玲さんがデザインしたお庭では、モルタルやコンクリートまで使用し(管理しやすくする目的もあるとか)、それでいて格調高いお庭を作り上げてます。
代表作である東福寺・八相庭は、1939年、作庭家としてのデビュー作として作られました。北庭「石松の庭」に敷き詰めてある敷石は、他の場所からの再利用であり、東庭「北斗七星の庭」で星に見立てられた石は、もとは僧侶が使ったトイレの礎石だったものだとか。南庭「八相の庭」の凛とした美しさも素晴らしいですし、ここから本格的な作庭家人生が始まったとはとても思えません。
奈良・春日大社にも、三玲さんが作庭した「貴賓館庭園」があります。これは最初期の作品で、寺社庭園の処女作になるとか。伝統的な意匠を重んじながらも斬新さも感じられるお庭で、年に一度一般公開されています(通常は秋ごろ)。ぜひ拝見したいですね。
関西を中心にたくさんの作品が遺されていますが、もっとも拝見してみたいと思ったのが、最晩年の作品となる、松尾大社「上古の庭」。自然の丘を利用し、神が降り立ったかのような荘厳な空間を生み出しています。
ユニークなところでは、大阪・岸和田城にある「八陣の庭」があります。500坪もある巨大なもので、天守閣から見下ろすようになっています。城壁に見立てた白砂や石組みがなされているのだとか。ぜひ拝見したいと思います!
重森三玲さんの作品は、西日本を中心に全国にありますので、本書を参考にして見て回りたいですね。
また、以前に簡単にご紹介しましたが(こちら)、重森三玲さんの作品を集めた写真集『重森三玲モダン枯山水』は必見です。大型本で、どのお庭の写真もはっきりと観られますので、こちらも探してみてください。