花よりも花の如く (1) (花とゆめCOMICS)
「能」をテーマにしたコミック作品。演目や裏側も含めて分かりやすく描いた良作です!
「能」をテーマにしたコミック作品。初心者には難しく感じられる能の世界を、演目や裏側も含めて、とても分かりやすく描いています。
作者は成田美名子さん。2014年11月現在で、最新刊は13巻(未完結)まで発売されていて、11巻までを読了しました。連載開始が2001年『月刊メロディ』。2006年に隔月刊誌『MELODY』へリニューアルされ、現在も連載が続いています。ちょっとした大作ですね。
奈良で生活していると、年間に何度も能が演じられていることに気づきますが、なかなか実際に拝見する機会は少ないものです。お話の内容が分かりづらいのも理由の一つで、奉納神事として起こったものでもあり、歌舞伎のようなサービス精神は見当たらず、そっけないほどシンプルなまま現代まで続いています。
また、能を演じる方々の存在が独特すぎて身近に感じづらいというのも要因でしょう。
本作では、一人の能楽師を主人公として、その家族や稽古の様子、周りの人々との関係など、外からはなかなか見られないような人間臭さが感じられます。一応は少女漫画ですし、いくらか恋愛要素などもありますが、決して甘すぎず、丁寧に描かれています。男が読んでも違和感なく楽しめますね。
この作品は、ハーフの少年がバスケットボールと弓道に打ち込む『NATURAL』(全11巻)という作品からにスピンオフ的なものでした。私自身は友人からまとめて借りたのですが、その際に「必ず『NATURAL』から読んでください。」と念を押されていて、長さに怯んでいたのですが、指示に従って正解でした。
『花よりも花の如く』単独でも十分に楽しめますが、登場人物の一部が重なっていることもあり、より感情移入できます。『NATURAL』はやや少女漫画臭のする絵ですが、穏やかなスポ根ものといった印象なので、特に違和感もなく楽しめます。時間がある方はぜひこの順番でどうぞ!
能の世界を漫画で描いた作品なんて、他にはなかなか見当たらないと思います。作者さんは丁寧に取材を行い、かなりこだわって描いているようですので、お能の入口には最適でしょう。オススメです!