すくってごらん(1) (BE LOVE KC)
大和郡山市が舞台の「金魚すくい漫画」。色モノご当地漫画ではなく、ちゃんと面白いです!
金魚の街・大和郡山市を舞台にした、日本初の「金魚すくい漫画」。よくそんなテーマで漫画を書こう(連載しよう)なんて思ったものだと、奈良県民でも驚くほどのニッチさですね!
発売された1巻だけ読みましたが、これからちゃんとストーリーが盛り上がっていく要素が散りばめられていますから、単なるご当地モノではなく、ちゃんと全国の読者さんに受け入れられそうです。
説明文:「東京のKDS銀行本社から大和郡山支店に転勤でやってきた元エリート銀行マン・香芝誠。ささくれ立った心をむき出しにして歩いていた香芝が、束の間の清涼を求めて偶然足を踏み入れた先は金魚問屋だった。地元住民たちが楽しむ“金魚すくい”の光景を、最初は気にも留めずにいた香芝だったが……!?小さな命をめぐる世界一優雅な奮闘を描く次世代コメディ!!」
あらすじを読んでしまうと、典型的なスポ根展開になっていくのは間違いないと思いますが、競技の対象となる金魚についての豆知識なども散りばめられています。
金魚すくいに使われる小赤は、販売できないとしてはじかれた和金です。つまり主流からの「脱落者」であり、主人公の境遇とも重なっています。そんな要素もあって、最初は嫌がっていた金魚すくいの世界へのめり込んでいくのです。
また、競技中のセリフが、なかなかいけてます!抜き書きするとヘンな感じもしますが、まったく違和感なく使用されています。
「力まかせにせまってみても、こちらの分が悪くなるだけ……。この感じ、恋愛に似ている!」
「金魚をすくう音(リズム)がメトロノームみたいに一定なんだ…。音楽だ。ポイを指揮棒にして、彼は金魚と音楽を奏でている!」
「相手はわれわれと同じ生き物です。気持ちを寄り添わせてすくってあげてください。それができればきっと、金魚もあなたの気持ちに応えてくれますよ。」
冒頭に大和郡山駅のシーンが登場したり、お馴染みの建物や通りが描かれたり。さらに、登場人物の名前が、香芝・生駒・王寺など、みんな奈良県内の地名からとられていたり、ご当地漫画としての要素もたっぷりと含まれているのもいいですね。
競技かるた漫画『ちはやふる』を大ヒットさせた漫画雑誌「BE LOVE」連載ですから、これからの展開に期待しています!奈良好きな方はぜひ手にとってみてください!