ひきだしにテラリウム
SFからコメディ、ファンタジーまで。九井諒子さんの掌編33篇の作品集。高評価も納得です!
各所で話題になっているショートショートのコミック作品。作者は「九井諒子(くいりょうこ)」さん。同人誌などに作品を発表していたところ、2011年にメジャーデビュー。2013年には本作で「第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞」を受賞したという、注目の方です。
SF的なテーマにコメディー、日常のちょっとした描写まで、2~4ページ程度の33編が収められています。漫画の世界でこんなテイストの方は珍しいかもしれませんね。私はどこか星新一さんのショートショートのような雰囲気も感じて楽しめましたが、ウチの奥さんはピンと来なかったとか。
説明文:「ようこそ、ショートショートのワンダーランドへ。笑顔と涙、驚きと共感。コメディ、昔話、ファンタジー、SF……万華鏡のようにきらめく掌編33篇。Web文芸誌マトグロッソでの、2011年8月~2012年12月の約1年半の連載分全篇のほか、「えぐちみ代このスットコ訪問記 トーワ国編」「神のみぞ知る」、描き下ろし作品も収録。」
テーマもテイストも自由な掌編が集められていますが、まずその世界の広がり方に感心します。一口にどのジャンルかを言い表すのが難しいほどの多彩さで、テンポ良くページを読み進めたくなりますね。こうした短いページ数の作品にもスポットライトが当たるところに、日本のマンガ文化の成熟すら感じます。
また、その前作にあたる作品『九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子』も合わせて読みました。こちらが短編7作が収められており、竜や人魚、神様などが登場する不思議な世界を描いています。
設定はファンタジーやSF的ですが、登場人物は淡々としていて、妙なリアリティがありますね。SF小説などがお好きな方であれば、こちらの方が読みやすいと思いますので、ぜひ探してみてください!