応天の門 1 (BUNCH COMICS)
在原業平と菅原道真コンビが平安京の怪事件を解決していくコミック作品。意外な設定で面白い!
渋いモテ中年・在原業平と、若く気難しい学生・菅原道真。年齢差20歳差のコンビが、平安京の謎を解き明かしていくという、なかなか意表をついた設定のコミックスです。
「月刊コミック@バンチ」連載作品で、作者は灰原薬さん。2014年4月9日に1巻が発売になったばかりで、漫画喫茶の新刊棚で見かけて読んでみましたが、いいですね。この時代の雰囲気もよく描かれていますし、なかなか楽しいエンターテイメント作品になっています。
説明文:「口の悪いインドア学生・菅原道真と京随一の歌人&色男・在原業平――最強に天才で最高に面倒なふたりが、京で起こる怪奇事件を解き明かす――!!」
ちなみに、タイトルから「応天門の変(おうてんもんのへん)」(Wikipedia)を連想してしまい、策謀まみれの末に戦いが起こる宮廷劇のようなイメージになりますが、1巻を見る限りではそういった話ではなく、平安京で起こった奇怪な事件を解決していく(某所では「クライムサスペンス」と紹介されていました)内容です。
鬼の仕業かと恐れられた女官の行方不明事件、そして誰もその真の姿を観ていない女御のエピソードが収録されています。どちらもテンポ良く進みますし、時代考証もしっかりとしていて、良質なエンターテイメント作品に仕上がっていますね。
ちなみに、応天門の変とは、866年に起こった政争です。応天門が放火された際に、大納言・伴善男は、左大臣・源信の犯行であると告発したが、太政大臣・藤原良房の進言により無罪に。その後、伴善男が犯人だという密告で流刑となった、という事件です。古代から続いた大伴氏が完全に没落し、藤原氏の圧倒的優位が固まるきっかけになりました。
この事件の主要人物である伴善男や藤原良房もしっかり登場していますし、いずれはそんな事件も巻き起こるのでしょう。在原業平と菅原道真という平安時代を代表する人物たちが、どう活躍してくのか見守りたいと思います。