2013-12-21

野仏の見方―歴史がわかる、腑に落ちる (ポケットサライ)

雑誌サライのポケットサイズ別冊「野仏」。色んな野仏や石塔を分かりやすく解説しています

雑誌サライのポケットサイズ別冊シリーズ「野仏」。旅先や街角で野の仏さまや石塔を見かけても、意味が分からないものが多いですが、本書は携帯しやすいサイズで分かりやすく解説しています。2003年に出版されたものですが、今でもまったく古びていませんね。


説明文:「路傍に、池のほとりに、野辺に、佇む野仏たち。なぜか和み、心を解放してくれる彼らを徹底研究。散歩の、小さな旅の、“お供”にゼヒ!知的探求心を満足させる、小さな発見の書。」


道端で見かける野仏といえば、彫像のもの・文字を刻んだものなど、沢山の種類があり、男女2体が抱き合った形で表される「道祖神」などが有名です。大黒天などの「甲子塔」、弁財天などの「巳待塔」や「水神」、三十三番など巡礼の結願を記念した「巡拝塔」、梵字を描いた「板碑」、馬頭観音や不動明王、地蔵や山の神など、驚くほどの種類があります。

中でもよく見かけるのが「庚申塔」でしょう。道教の「三尸(さんし)説」に基づいた日本独自の民間信仰(奈良町の庚申堂などが有名です)で、特定の日に寝ずに朝を待つ風習がありました。そうした行事の記念碑として建てられたものなのだそうです。その姿はさまざまで、青面金剛や三猿の彫像、猿田彦の文字だったりしますが、すべて同じ目的のものなのだとか。知らなければ別物と思ってしまうでしょう。

また、これと似たような風習による「月待塔」というものもあるとか。これは江戸中期から流行した行事で、特定の月齢の晩に当番の家に集まり、月の出を待つのだそうです。その月齢は、十六夜・二十二夜・二十六夜など。熱心に祈るというよりは、仲間内の会合を楽しむという宴会的な性格が強かったとか。そんな風習があるなんて、初めて知りました。

月待塔は、その記念碑として建てられたもので、如意輪観音や勢至菩薩の彫像だったり、十六夜などの文字が刻まれたものがあるそうです。

普段は何気なく見過ごしている野仏や石塔にも色んな意味がありますから、じっくりと見ていくと面白いでしょうね。また、巻末には野仏散策のオススメの場所として、長野・安曇野、奈良・柳生街道が紹介されていたりします。

内容もとても分かりやすいですし、ポケット版なので持ち運びも便利ですから、この本を片手にお散歩してみるのもいいですね!


『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より


【野仏の見方―歴史がわかる、腑に落ちる (ポケットサライ)】の関連記事

  • 『ミズノ先生の仏像のみかた』~顔のパーツなど細部にも注目し、脱・仏像初心者に最適!良書です!~
  • 『消しゴムはんこの仏さま』~愛らしい消しゴムはんこの仏さまを多数収録。親しみやすく味がある文章も◎!~
  • 『香薬師像の右手 失われたみほとけの行方』~所在不明の新薬師寺像の行方を追ったドキュメント。読み応えあり!~
  • 『仏師たちの南都復興: 鎌倉時代彫刻史を見なおす』~「南都復興は慶派中心だった」の歴史感を見直す、丹念で読み応えのある一冊~
  • 『南山城 石仏の里を歩く』~石仏の里・南山城の丁寧なガイドブック。散策したくなります~
  • 『円空を旅する (BT BOOKS)』~漫画家・井上雄彦さんが全国の円空仏を巡る。貴重なスケッチも大量に収録!~
  • 『壊れた仏像の声を聴く 文化財の保存と修復 (角川選書)』~薮内先生が仏像修理の最新技術、古典技法の解説などを解説。興味深い内容でした。~
  • 『入江泰吉と歩く大和路仏像巡礼』~入江泰吉さんの仏像写真に、詳細な解説付き。分かりやすくてバランスのいい内容です~
  • 『東海美仏散歩』~東海エリアの美しい仏像のガイドブック。見やすく調べやすい!楽しく実用的な一冊です!~
  • 『巨大仏巡礼』~情報充実・オールカラー160ページ・お値段お手頃。大仏を紹介する本の決定版でしょう!~
  • 『巨大仏!!』~日常生活に溶けこむように存在する巨大仏の写真集。圧倒的な大きさと非日常感が面白い!~
  • 『獅子と狛犬』~MIHO MUSEUM「獅子と狛犬 - 神獣が来たはるかな道」の図録兼作品集。見応えたっぷり!~


  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ