2013-10-02

仏像 日本仏像史講義 (別冊太陽スペシャル 創刊40周年記念号)

1400年の仏像の歴史を通観した、貴重な図板も豊富な充実の一冊。まさに永久保存版です!

別冊太陽の創刊40周年記念号として発売になった、最初から最後まで徹底的に「仏像」を語った一冊。日本の仏像が渡来したところから、奈良時代・平安時代・鎌倉時代、そして江戸時代まで簡単に触れられ、仏像の歴史と流れを通観できるようになっています。

発売は2013年2月。仏像好きな方たちの間では大きな話題になっていましたが、約500点を図版を掲載し、306ページという分厚さのため、お値段も4千円近くしてしまい、購入を見送っていました。しかし、いざ読んでみるとすごい本ですね!もっと早く読めば良かったと、後悔しています。

著者は、仏像に関する著作も多数ある山本勉さん。後書きによると、時代ごとに得意とする研究者に執筆を依頼し、それを監修する予定だったそうですが、結局すべてのページをお一人で書かれたのだとか。ものすごい労力ですね。


説明文:「本の仏像の黎明から江戸時代の末まで、祈りのなかに究極の尊容を求めて生みだした1400年の造仏の歴史を通観。約500点の図版、増頁オールカラー、最新の動向を踏まえた決定版。」


第一講「仏像の黎明──飛鳥時代」
第二講「古典の完成──奈良時代」
第三講「転形と模索──平安時代I」
第四講「和様と耽美──平安時代II」
第五講「再生と変奏──鎌倉時代I」
第六講「伝統の命脈──鎌倉時代II」


各時代ごとに、テキストと小さな写真で解説され、図版は各章の最後にまとめて掲載してあります。写真が大きくとても見やすいというメリットもありますが、解説を読みながらその数ページ後に掲載された写真ページと行き来しなくてはいけない図録形式のため、やや見づらい感もありました。しかし、それを補って余りある充実度だと思います。

私は仏像も好きですし、よく関連した本も読みますが、全時代を通してその流れを追ったりしたことはなく、どうしても地元である奈良を中心に、エリアごとで考えてきました。しかし、奈良の仏像を、国内の仏像の流れの中に置いて俯瞰してみると、当時のトレンドだったり、作風の共通点などが見つかるんですね。これは私には新鮮な体験でした。

例えば、これまで平安時代の仏像はあまり好みではないと思っていたため、あまり注目してきませんでした。しかし、京都・宝菩提院願徳寺の菩薩坐像と同じ時期の作として紹介されている、大阪・道明寺の十一面観音立像、京都・神護寺の薬師如来立像、奈良・新薬師寺の薬師如来坐像など、この時代(奈良から長岡京へ都が移ったころ)の作風が好きなことに気づいたりします。

また、やや時代は下って、私がもっとも好きな仏さまである、奈良・法華寺の十一面観音立像と、甲乙つけがたいほど美しい滋賀・向源寺の十一面観音さまも、時代的に近しいのだとか。エリアにこだわらず、通史を観ることで発見があるんですね。

また、仏像に関する本は、鎌倉時代で終わってしまうものが多いですが、本書ではページ数は少ないなりにも、それ以降のことも書かれているのが参考になります。奈良で活躍した高天仏師などについても触れられています。

最後に、付箋を貼ったところだけメモ代わりに。

●法隆寺・中門のニ王像は、比較的新しいものに見えるが、五重塔塑像と同時期のもの。奈良時代の末期に塑形しなおされ、吽形は室町時代に身体部分を木彫で補作。阿形は近世の漆喰が前身を覆っている

●唐招提寺の鑑真和上坐像は、同じ脱活乾漆像である金堂・盧舎那仏坐像との共通点が多い。少し後に作られた、法隆寺・夢殿の行信僧都坐像もこれに触発されて作ったものと見られる

●お堂の修理などのため、奈良博でずっと展示されている、大阪・金剛寺金堂の不動明王坐像。作者は快慶を補佐した仏師「行快」。京都・大報恩寺の釈迦如来坐像も彼の作品なので、ぜひお会いしたい

以上です。お値段以上の価値がある一冊だと思いますので、仏像好きな方はぜひ!


『<$MTEntryTitle$>』より

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