日本の秘仏を旅する (太陽の地図帖)
河内・奈良・若狭・会津など全国の「秘仏」紹介した読みやすい一冊。MJの秘仏開帳ルポも
ムック本「太陽の地図帖」シリーズの一冊(18冊目)。大好物なカテゴリーですが、近所の書店で何故か入荷がなかったためそのまま忘れていましたが、図書館で発見してさっそく借りてみました。情報量的にやや物足りない感はありますが、秘仏の御開帳などに興味がなかった方には読みやすくていいと思います。
説明文:「普段は扉の中に安置され、限られた日に拝観が許される “秘仏"を求め、旅をする。京都、奈良、若狭など六エリアを厳選、寺社の歴史とともに紹介。みうらじゅんの秘仏開帳ルポも掲載」
掲載エリアと仏さまは、以下のようになります。
●河内(葛井寺・千手観音立像、野中寺・弥勒菩薩半跏思惟像、道明寺・十一面千手観音立像、観心寺・如意輪観音坐像)
●奈良(東大寺・良弁僧正坐像、執金剛神立像、僧形八幡神坐像、興福寺・不空羂索観音坐像、魅力菩薩坐像、無着・世親菩薩立像、伝香寺・地蔵菩薩立像、五劫院・五劫思惟阿弥陀如来坐像)
●若狭(中山寺・馬頭観音坐像、馬居寺・馬頭観世音菩薩坐像、意足寺・千手観音立像、正林庵・如意輪観音半跏像、加茂神社 為星寺・千手観音立像)
●会津(勝常寺・薬師如来坐像など、上宇内薬師堂・薬師如来坐像、弘安寺・十一面観音立像、法用寺・金剛力士立像)
ここには、毎月や毎年といったスパンで定期的に御開扉されているところもあれば、33年に一度だったり、ご住職の代替わりの時だけだったりと、お会いするのがかなり難しい仏さまもいらっしゃいます。その一方で、事前予約さえすれば拝見できるところも紹介されていたりしますし、一切拝見できない「絶対秘仏」については簡単に触れられるだけだったりと、「秘仏」の定義に曖昧さが感じられました。
しかし、仏さまのお写真は1ページに大きめに1枚を掲載してありますので、とても迫力がありますね。読みやすいですし、贅沢感のある紙面構成です。
さらに、みうらじゅんさんの「秘仏巡礼記」(神奈川県逗子市の神武寺・薬師三尊像)、京都編としてイラストレーター川口澄子さんの「秘仏絵日記」(清凉寺・釈迦如来立像、報恩寺・千体地蔵菩薩像、浄瑠璃寺・吉祥天立像)などもあり、単なる図録的としてではなく、いろんな角度で読ませようとしているのがいいですね。
冒頭には、著書「仏像のひみつ」が話題になった山本勉先生の「秘仏のひみつ」という読み物もあります。「人から拝まれるために作られた仏像が、なぜ秘仏として人目から隠されているのか」という疑問について、それが日本独特のものであり、神道の影響を受けたものだと解説されたりしています。
とても読みやすいですから、「秘仏とは何ぞや?」という方はここから入ってみるのもいいかもしれませんね。