2013-05-24

気になるガウディ (とんぼの本)

建築家「アントニオ・ガウディ」の代表作を美しい画像で解説。ガウディ入門書に最適!

スペイン・バルセロナで活躍した建築家「アントニオ・ガウディ」の代表的な建築作品を、独特な視点から解説した一冊。2002年の芸術新潮「磯崎新が語る 気になるガウディ」の内容を増補・再編集したもので、本書の発売は2012年7月です。代表的な6つの建物を解説しながら、ガウディの建築の良さと不思議さなどが分かりやすく解説されており、最後まで楽しく読めました。


説明文:「ガウディの「実験」は、建築の「大革命」だった。〈かつて僕は「ガウディが大嫌いだ」と発言したことさえあります〉。孤高、奇想、天才―― そんなガウディ像は果して正しいのか。21世紀のコンピュータが解き明かした、その驚くべき手法とは? 現代建築の最前線を突き進む巨匠が、愛憎なかばする思いで語る〈これだけ見れば充分〉の6作品。最強・最新・充実のガウディ案内。」


磯崎さんは、冒頭で日本とバルセロナの類似性について、「バルセロナはマドリードから、日本は中国から離れた『辺境』の地だったからこそ、独自のコンセプトを組み立てられる自由が得られた」と語っています。


日本が独自に手に入れたものは、余剰を許さない禁欲的なミニマリズムだった。いっぽう、バルセロナが獲得したのは、一種の過剰主義とでもいうべきものだった。(中略)日本人特有のガウディへの関心は、ともにオフ・センターであるという共通理解を前提としたうえでの、自分たちに欠けている過剰さへの憧れなのではないだろうか──。

本書9ページより


ミニマムを好んできた日本人が強くガウディの建築に惹かれる理由について、とても分かりやすい分析になっています。代表作とされるサグラダ・ファミリアの過剰さを見ると、その奇妙さが懐かしさになったり、不思議な感覚を覚えるのもそのためかもしれません。

しかし、本書で取り上げられた6つの建築物を見ていくと、過剰な中にもモダンさが潜んでいることが分かります。

●つかのまのモダニズム「ボデーガ・デ・ガラーフ」
●生まれながらの廃虚「コロニア・グエル教会地下聖堂」
●ディズニー顔負けのテーマパーク「グエル公園」
●溶けてゆく家「カサ・バトリョ」
●波うつ石切場に住む「カサ・ミラ」
●つくり続けることの是非「サグラダ・ファミリア聖堂」

最初の「ボデーガ・デ・ガラーフ」以外はいずれもガウディらしい作品ですが、美しい建築を生み出す才能をベースにして、曲線だらけの構造物を作っているため、誰もが真似し得ない空間になっています。細部までこだわった悪夢のような異次元空間ですね。

驚いたのですが、現在も建設が続けられている「サグラダ・ファミリア」ですが、本人が残した全体像のスケッチはわずかに一枚のみ。しかも、その原画も、大量に作った模型も、すべて1936年のスペイン内戦の際に破壊されてしまい、現存していないのだそうです。

ガウディは、31歳のころからこの建築に携わり、死の直前まで指揮を続けました。死後も工事は続けられ、2026年の完成予定ですが、その時の姿はひょっとしたらガウディが意図した姿ものとはまったくかけ離れたものだという可能性もあるそうです。必ずしも「ガウディの遺志を継いで…」と言い切れるものではないということを初めて知りました。

そんなことも含めて、本書ではガウディの作品の魅力と、その生涯についても分かりやすく解説されていますから、入門書としても最適です。写真も大きめで美しいですし、パラパラとななめ読みするだけでも楽しくなってきます。興味がある方はぜひ手にとってみてください!


『<$MTEntryTitle$>』より

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