2013-05-17

当尾の石仏めぐり―浄瑠璃寺・岩船寺の四季

当尾エリアの石仏・石造物を写真集兼資料集。石灯籠なども解説されているのが面白いです

京都南部の古刹・浄瑠璃寺~岩船寺の「当尾(とうの)」の石仏・石造物を写真集兼資料集。このエリアにはたくさんの石仏が残されていますが、それらを大きめのカラー写真を使用して、はっきりと見せてくれます。さらに、五輪塔や石灯籠や石鉢など、知らなければ通りすぎてしまいそうな石造物も紹介していて、とても興味深いですね。


説明文:「浄瑠璃寺から岩船寺周辺の当尾石仏を豊富なカラー写真で紹介する。初めて当尾を散策するハイカーだけでなく、石仏や石造美術の研究者にも利用してもらえるよう、巻末に金石文などの資料や、石仏データを収録。」


掲載数は60弱。もともと奈良の近郊は石仏などが多く見られますが、さすが石仏の里・当尾のものは数も種類も多いですし、美しい造形のものが美しい状態で遺されています。特に気になったのは「森八幡線刻不動明王・毘沙門天」(鎌倉後期)です。線彫りの石仏は少なくありませんが、ここまで鮮やかに線が遺っているのは珍しいかも。毘沙門天の躍動感あふれる描写も素晴らしいです!

また、浄瑠璃寺の本堂前の石灯籠と、池を挟んで対岸にある塔前石灯籠が紹介されており(どちらも南北朝時代の作)、それぞれの違いが解説されているのも面白いですね。本堂前のものは「中台や笠がやや小ぶり」で、塔前のものは「この時期の石灯籠の代表的名品」なんだとか。今度お詣りに行ってじっくりと観てみます!

全体的にそれぞれ年代や形の特徴などが解説されていて、とても読みやすいですね。写真集として見ていても楽しいですし、散策の際のガイドブックとしても使用できるでしょう。2000年に発売された本なので、なかなか店頭では見つからないと思いますので、図書館かネットで探してみてください。


『<$MTEntryTitle$>』より

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