へうげもの(1) (モーニングKC)
武将・古田織部が「数寄(すき)」の力でのし上がっていく立身出世の物語。傑作です!
戦国~江戸初期にかけての茶道武将「古田織部(ふるたおりべ)」(Wikipedia)を主人公にした、アニメ化もされた大人気の歴史コミックス。途中まで読んでいたのですが、今回15巻までを一気読みしました(連載は続いています。現在の最新刊は16巻)。
文句なしの面白さですね。戦国時代が舞台ですが、ずっと戦争と国盗りに明け暮れているような力が支配する時代に、千利休らが切り開いた茶道をベースとした「数寄(すき)」の力でのし上がっていく、風変わりな立身出世の物語です。オタク的な気質を発揮し、茶器・造園など幅広いジャンルで「織部好み」と呼ばれるブームを巻き起こしていきます。
説明文:「あるときは信長、秀吉、家康に仕えた武士。またあるときは千利休に師事する茶人。そしてまたあるときは物欲の権化。戦国~慶長年間を生き抜いた異才・古田織部。甲冑、服飾、茶、陶芸、グルメetc. お洒落でオタクなこの男こそ、日本人のライフスタイルを決めちゃった大先輩だ!!」
個人的には、戦国時代を舞台にしたストーリーは画一的な印象があり、あまり手にとることはありません。しかし、この作品のようにちょっと別のアングルから人々を見ていくと、とても新鮮ですね。戦が近づいてくると、弱小大名は戦費を捻出するために金策に走ったりする姿も描かれ、戦国武将たちがよりリアルに感じられます。
また、昔遊んだゲーム「信長の野望」などで、配下の武将へ褒美として茶器を与えたりすることもありました。当時はそれがどんなメリットがあるのか、どれだけ喜ばれるのかがさっぱり想像できませんでしたが、本作を読んだ後だと、いかに茶の湯のムーブメントが大名や町民たちに浸透していたのかが把握できました。
ストーリーは、信長が信貴山城にこもった松永久秀を攻めるところから始まります。基本的には史実に従って展開していきますが、ところどころに大胆な設定が組み込まれています。殺伐と描かれがちな戦国の世ですが、古田織部のような生き方をした人物がいたということが分かるだけでも楽しいですね。決してややこしいお話ではありませんので、ぜひ手にとってみてください!
なお、人気に応えて文庫本サイズのシリーズも登場してます。購入するならこちらの方が揃えやすいかもしれませんね。