みちのくの仏像 (別冊太陽 日本のこころ)
みちのくの約300点の仏像を掲載。素朴で神秘的な東北らしい像など充実の内容です!
東北の仏像を網羅した充実の一冊。別冊太陽「にほんのこころ」シリーズ200号特別記念号として登場したものだけに、読み応えありました。私自身は、仏像を拝するのは大好きなんですが、突っ込んで調べてみたりするのは地元の奈良(あとは滋賀くらい)に限られています。こういったなかなか足を伸ばせないエリアの仏さまのお姿を拝見すると、色んな発見があって面白いですね!
説明文:「素朴さが魅力的な「みちのく=東北」の仏像。飛鳥から江戸時代まで約300点の仏像を解説とともに掲載。小特集に津波と神仏。」
東北の仏さまというと、岩手県平泉町の中尊寺・毛越寺の金箔を施した方たちは別として、一般的には「一木造リ・木目を活かしている・神像に近い・素朴でおおらか・鉈彫り」というイメージがありました。岩手・宝積寺「六観音立像」のような先鋭的なアート作品に近いようなプリミティブなお姿を見ると、東北らしさを感じるように思います。
しかし、数の多い少ないはあるにせよ、飛鳥時代の金銅仏から、平安時代の堂々とした一木造リの像、鎌倉時代の秀作(慈恩寺の十二神将像とかすごい!)など、素晴らしい像も多数遺されています。勝常寺・黒石寺の厚みのある薬師如来像など、たまらないですね。
また、東北らしさを感じさせる、岩手県の天台寺の鉈彫り(あえて表面にノミの削り跡をのこしたもの)の「聖観音菩薩立像」や、江戸時代に神仏習合の流れをくんで地方仏師が掘りあげた素朴でユーモラスな素木仕上げの像など、バラエティ豊か。お会いしたい仏さまが多数いらっしゃいます。
本書では、基本的には造像の時代別に分類され、そこに県別の紹介を交えているため、私のようなこのエリアに詳しくない人間にも分かりやすいですね。この本を参考に、いつか東北のお寺さんを巡ってみたいと思います!